« オルトボックス シルス | トップページ | 登山における食料、2014年10月版 »

2014年10月15日 (水)

登山における給水、2014年10月版

 この記事は新版、登山における給水、2016年07月版に改訂済。

 スポーツ全般において給水は重要だ。昔は「飲んだらバテる」等と言われていたが、今は「喉が渇く前に飲め」である。実際水を切らして歩くとバテるし、バテた状態で歩くととてもキツいし、頑張った割に成果が出ない。がぶ飲みすると吸収が間に合わずトイレが多くなることもあり、こまめに少しずつ飲んだ方が安全かつ楽だ。水は体内の化学反応の触媒なので、冬に冷える対策にもなる。「5分おきに口を湿らせる程度」などとも言われるが、そこまで厳密にやらなくても良いとは思う。余談だが、行動食も同じ考え方である。

 持つ量は「5cc×体重(kg)×時間(h)」とも言われるが、実際には気温や湿度、登高のペースによっても全然違うので、目安でしかない。地図を見て行程の途中に水場があって事前のインターネット検索で最近その場所を通った人が水が出ていた旨言及していたとか、小屋泊まりで貰えることが分かっているなら、補給を前提にして持ち込む量を減らすこともある。もちろん迷ったら多めに持つ。

 お茶やジュースを持ち込む人もいるようだが腐敗やカビなどの原因になるし、炊事に使うなど融通も考えればただの水にしておくのが無難だ。少なくとも一部はただの水にしておくべし。

・ペットボトル

 何か飲んだ後の空ボトルを洗ってラベル剥がして取っておいて、水を詰めて持つ。予算を掛けられないうちはこれで結構。
 欠点としては、キャップを取り落とすことがある。登山の場合、落としたキャップが断崖絶壁の下へ転がり落ちて行ったり、大きな岩の隙間に転がり込んだりする可能性も高いわけで、拾えるとは限らない。取り落とさないように気をつけること、万が一取り落としてもどうにかなる状況にしておくことは必要だ。すなわち、キャップの予備を持つ。さらに全滅のリスクを減らすため2リットルを1本持つよりは1リットルを2本持つ方が良い、その方が梱包に融通も利く。
 1本は0.5リットルとか小容量にしておいた方が良い。例えばザックの横に差しておけば歩きながらこまめに飲める。休憩時間に大きいボトルから補充するのだが、ここでもう一つの欠点が問題になる。口が小さいので細心の注意を以てするか、漏斗を携行する必要があるのだ。
 大きい方のボトルは四角いボトルの方が梱包上で有利だと思う。

・登山用ボトル

 有名で信頼されているのはナルゲンである。持つとしたら0.5リットル×1、1リットル×2という感じか。色は青系をお勧め、理由は燃料ボトルは赤、飲料ボトルは青で!。左が0.5リットル、右が1リットル。

 取り落とす可能性がないようにキャップが本体と繋がっていることが分かるだろう。ただ積極的にこのシステムを推奨するか、と言われると、高価な割にメリットが少ないと思う。丸型なので梱包効率も良くない。

 もし使うなら口を小さくして飲みやすくする下のブツ併用をお勧め。装着するのは直接口をつける小さいボトルだけで充分だろう。

 後述するエディボトルやハイドレーションと違って細い管がないので、洗浄が簡単かつ確実であり、それなりの必然性がある。

 キャメルバッグのエディボトルは飲み口を起こすだけで飲めるし倒すだけでロックできるので手早く飲める。補充時以外キャップを外さないのでキャップを取り落とす可能性も低く、また顔を上げる必要がないので飲みやすい。口が大きいので補充も楽で確実だ。0.6リットルをリンクで挙げる。

 バックパックの中の大容量ボトルはペットボトルで、手元の小容量ボトルはキャメルバッグのエディボトル、というのも一つの妥協点として良いかも。

・ハイドレーションシステム

 バックパックの中に大きな水の袋を背負い、そこから手元までチューブを伸ばして吸えるようにしたシステムだ。投資金額が大きいことと掃除が面倒なのを除けばこれが理想的。残量が見えないので運用当初は「調子に乗って飲み過ぎ、炊事用の水がなくなってしまった」等ということがないようにしなければならないが、予備をペットボトルで持てば大問題にはならないし、すぐにペースも分かって来る。
 最近は袋を入れる場所が設置してあったり、チューブを通す穴があったり、チェストハーネスにバイトバルブを掛けておくフックを装備したりと、ハイドレーションシステムに対応したバックパックも増えて来た。
 万が一破れた時に困るので実績のあるメーカー製であること、本体に手を突っ込んで洗えること、チューブを外して洗えること、給水時に片手だけで口を開いた本体を持ったまま蛇口を捻れること、丈夫で匂いがつきにくい素材で作られていることが条件。お勧めはプラティパスのビッグジップLPかキャメルバックのアンチドートリザーバー。プラティパスはポリエチレン製、キャメルバックはポリウレタン製。ポリウレタンは素材の性質上経年劣化が気になるが、給水時持ちやすいのはキャメルバックだと思う。
 どちらも1.5リットル、2リットル、3リットルがある。大は小を兼ねるので1.5リットルよりは2リットルだが、3リットル持つならリスク分散の観点からペットボトル1リットルで別に持った方が良いので、お勧めは2リットル。左はプラティパス、右はキャメルバック。

 キャメルバックにはアンチドートライトリザーバー2.5リットルというモデルもあり、2リットルのアンチドートリザーバーより安価で「初めてリザーバーを使う方におすすめの入門モデル。シンプルでコストパフォーマンスに優れています」と紹介されているが、絶対に勧めない。クイックリンクを装備しておらず、すなわち洗うためのチューブの脱着が面倒なのである。ただでさえチューブの掃除は面倒なのに、洗いやすくなってないと困る。バックパックにチューブを残して本体だけを持って給水に行くこともできず、この点でも面倒だ。

 △11が使っているのはキャメルバックのストアウェイで、アンチドートリザーバーの上位機種。本体もチューブも保温材で包まれており、冬山で凍結しにくく、冷たい飲み物がヌルくならない。保温材は一部オプションでも販売されているが、アンチドートリザーバーとストアウェイの差額と比較すると非常に高価につくので、こっちにしておいた方が後悔はないかも知れない。外せるので使用する時に重くなるわけでもない。
 余談だが、本当に寒い冬山で運用する際には、飲んだ後少し息を吹き込んで水を本体に戻しておくと良い。凍結すると難儀である。夏山でも吹き返すと冷たい水を飲めるが、雑菌繁殖は早くなると思うので、潤沢な水場では給水とともに毎度洗浄すること。

 山に行かない時の夏の散歩に、凍らせて持参すると冷たい飲み物が飲め、この場合結露が少ないので周囲を濡らす危険が減る。「冬山なんか行かないし、常温の水で結構だ」という人も、バイトバルブに関して「飲み口が剥き出しなのは嫌なのでこれが良い」という人が多い。バイトバルブカバーとしてオプションでも売っているが交換は面倒だ。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版

編集

|

« オルトボックス シルス | トップページ | 登山における食料、2014年10月版 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/118328/60481770

この記事へのトラックバック一覧です: 登山における給水、2014年10月版:

« オルトボックス シルス | トップページ | 登山における食料、2014年10月版 »