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2015年10月11日 (日)

登山における寝袋、2015年10月版

 寝袋、以前はシュラフと呼んでいた。寝袋のドイツ語シュラフザックSchlafsackの省略形であろう。シュラフは「寝る」というドイツ語動詞シュラーフェンSchlafenに由来するもので、シュラフだけでは袋を意味する部分がなくなってしまう。最近は英語でスリーピングバッグSleeping bagと呼ぶことが多くなったようだ。
 余談だが、医学界と同じく登山界の外来語でもドイツ語由来が減って英語由来に置換されている。ピッケル→アイスアックス、アイゼン→クランポン、ザイル→ロープ、リュックサック→バックパックなど例を挙げればきりがない。
 本当のドイツ語ではピッケルはアイスピッケルEispickel、アイゼンはシュタイクアイゼンSteigeisenというらしく、、、ドイツ語だと思い込んでいたらドイツに行っても通じないわけで、その点でも良くないと思う。アイゼンEizenだけだと単なる鉄である。

 さて本題。登山で寝袋を選ぶ際、一番重要なのは必要な保温性を確保した上での小型軽量である。この観点からダウン製が多用されて来た。

 ダウン製で双璧はモンベルとナンガだが、個人的にはモンベルをお勧めする。理由は2つある。
 モンベルの製品ならほぼ全部足元からもファスナーを開け「暑い時にお腹を出さずに足を出せる」。お腹まで出して寝ていると朝に冷えて来て体調を崩す危険が高い。
 昔寝袋は隙間風が入ると寒いので、寝苦しいのを我慢してでもキツめにして欲しかったものなのだが、モンベルは伸縮するようにし隙間風が入らない「きっちり」と「ゆったり」を両立した。135%まで伸びるスーパースパイラルストレッチのダウンハガーと、120%まで伸びるスパイラルストレッチのアルパインダウンハガーがあり、「どうせ買うなら」でダウンハガーをお勧めする。

 中身のフィルパワーをいくつにするか。
 フィルパワーってのは潰した羽毛がどれだけ膨らむか、であり、要するに「同じ保温性の場合、どれだけ小型軽量になるか」という話だ。数字が大きくなるほど膨らむ=潰せる=小型軽量になる。モンベルにはフィルパワー650のダウンハガー650、フィルパワー800のダウンハガー800、フィルパワー900のダウンハガー900がある。
 お勧めはダウンハガー800。
 お金がない人はダウンハガー650でも問題はないが、選択する場合は店頭での比較を推奨する。かなりの差があるので、両方手に取ればちょっと頑張ってでも800にしたくなると思うからだ。
 ダウンハガー900は要らない。無茶苦茶に高価だし、800と現物を並べて比較しても、容積も重量も大して変わらない。何よりモンベルにはあるま じき仕様なのだが、軽量化を最優先にしたのだろう、ハーフファスナーで足を出せないのだ。致命的欠点である。「足は冷えることはあっても暑いことはない、 体力ないけど財力は有り余ってる」という方はご自由に。

 厚い方から#EXP、#0、#1、#2、#3、#5、#7がある。
 迷ったら#3。

 #2以上は夏山には暑いし重い。

 というわけで結論は「まず1つ」というならダウンハガー800の#3。φ14×28cm=3.4リットル。600g。コンフォート温度3度。


 モンベルの場合、#3には上のリンクのバルサムの他にサンライズレッドもある。「好きな方でいい」と言いたいところだが、個人的にはバルサムを勧める。なぜならモンベルは寝袋の対応温度ごとに原則になる色が決まっており、これに従う限り感覚的に保温性能が分かるからだ。冬山行くのに夏山用の寝袋掴んで行って現地で寝る時に気がついた、なんて想像もしたくない。#3の原則色はバルサム、これに素直に従えば良い。ちなみにサンライズレッドは#1の原則色である。

 「大きさで分かるやろ?」、、、そんなわけにはいかないと思っていた方が良い。800フィルパワーダウンの冬用寝袋と、合成繊維の夏用寝袋が同じ大きさだったりするかも知れないから。

 軽量化を推し進め#5でも良い。φ12×24cm=2.2リットル。450g。コンフォート温度8度。原則色はブルーリッジ。

 実際には△11はこれにした。なぜなら冬山用に#1も持っているので#3だと近くなってしまうし、フリースやダウンジャケットなど保温着も充実して持っており調整が可能だからだ。というより登山に行くのに保温着を全く持って行かないわけはなかろうから、寝袋に関しては「迷ったら薄め」でも良いと思う。寝袋は眠る時だけだが保温着は歩く時にもご来光を待つ時にも使えるので、どっちを厚くしておくかと言えば保温着だろう。

 #7は#5と価格も重量も容積もあまり変わらないので、それなら#5にするわな。

 ダウンは濡らすと格段に保温性が落ちるので、2泊以上する場合防水のカバーはした方がいい。「濡らさないように気をつける」なんて言ったってそんなことできないのが山だし、不慮の事故で濡らしてしまい「寒くて寝られない」となるとオオゴトなのである。もちろんツェルトで寝る人には必須だ。登山における寝袋のカバーとシーツ、2015年06月版まで。
 現地で装着なんてせず、家で寝袋にちゃんとセットしそのまま寝袋本体ごと圧縮して持参すること。面倒なことは家で余裕を持ってやった方が楽だし、容量を食わないし、紛失や濡らす可能性が低くなる。

 何にせよ泣きつける相手がいない状況下で「寒い!」となると困るので、フリースは持ち、潰したダウンジャケットとホッカイロを非常用品セットに入れてある。

 合成繊維は利点として「濡れてもある程度の保温性が保たれる」「早く乾く」「安価」「メンテナンスが楽」、欠点は「容量、重量ともに嵩む」と言われて来たが、最近注目しているのは「合成繊維なのに結構小型軽量」を売り物にするファイントラックのポリゴンネストだ。価格はダウンと同じだが、それ以外はいいとこ取りになっている。
 厚い方から16×12、12×8、9×6、6×4、4×3、2×2、1×1ULがあり、夏山用なら4×3か。

 430g、φ13cm×26cm。身長185cmまで対応。最低使用温度は7度。

 別売りのシールド1×1(1×1ULとは別物)を併用すれば最低使用温度が0度になるし、シールド1×1は単独で最低使用温度13度の寝袋として使える


 高価だが、単なる防水透湿シュラフカバーでなく、防虫ネット装備でビビィサックとして使えるのは良い。

 寝袋に関して書いてある対応温度を盲信しないこと。書いてあることを信じて誰にも助けを求められない場所で半端ない寒さに苛まれても、朝の光が差して来るまで誰も助けてはくれない。
 
いろんなメーカーで採用しているEN13537という対応温度表示の統一規格を採用しているメーカーの製品なら「メーカー間での比較」はできるし、かなり信用できる。モンベルは最近これを採用して、対応温度表示が大幅に上がってしまった。まぁ正直な表示にしたということで責められることでもなかろう。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版
登山における寝袋のカバーとシーツ、2015年06月版

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コメント

Wikipedia:コメント依頼/SuperTheSonicをだしてくれてありがとう

SuperTheSonicはあちこちで何の根拠もなくただ自分の意見を押し通そうとする強引なユーザー

こいつは本当に無期限ブロックが相当

投稿: ぬこ | 2015年10月22日 (木) 23時15分

 ぬこさんこんにちは。

 本当にそう思うのなら自分でコメント依頼を出すべきだし、せめて出されたコメント依頼にコメントを出せばいいのに。
 誰かにやらせて自分は掩体壕で喜んでいるだけですか。

投稿: プリズム11 | 2015年10月23日 (金) 05時56分

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