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2016年3月26日 (土)

登山における大光量ヘッドライト、2016年03月版

 同じヘッドライトではあっても、登山において小型軽量モデルと大光量モデルは想定される用途が違う。小型軽量モデルは宿泊場所で手元足元を照らすのに使う。大光量モデルは夜道を歩く時に使う。
 ただ実際には夜道と言ってもまだ暗い早朝に出発し明るくなるまでヘッドライトを使う程度なら、まず小型軽量モデルで足りる場面は多い。
 というわけで大光量ヘッドライトはかなり上級者向けの機材で、だから欲しい人は自分で考えて選択すべき、特別お勧めモデルを提示するわけではない。自分向けのメモである。

 本当は、大光量モデルを持っているのに小型軽量モデルを併せ持つのは無駄なので、小型軽量モデルの機能を併せ持って欲しい。
 具体的には、例えば点灯しはじめから目が眩まない、手元足元を照らすための暗い照明もできて欲しい。
 ただこれは単3×2モデルならともかく、単3×4モデルでは常時携帯が負担になるから、あまり意味がないかも。つまり、小型軽量モデルを併用する旨割り切ってしまった方がモデル選定でも、実使用環境でも、ストレスが少ない。

 △11は入手が容易である点から電気機器の電源を単3に統一すべきだと考えている。
 また予備電池を含めた重量軽減の観点から電池の本数は少なければ少ないほど良い。すなわち単3×1が理想である。ただ中光量以上の機種でそれは無理なので単3×2。大光量を売りにする機種なら単3×3よりいっそのこと単3×4にして欲しい。ただ登山における大光量ハンドライト、2016年04月版に書いたように、△11の使う範囲で単3×4は筋が悪そうな気はする。
 無論普段運用するのは単3アルカリ電池ではなく単3ニッケル水素充電池である。ちなみにモンベルのカタログでは製品重量が電池抜/込の両方が掲載されていて、その差は23g/本。

 そのモンベルのパワーヘッドランプは、単4×3なので、△11基準では却下。

 タジマは、電池消耗で電圧低下しても明るさが変わらないような設計になっている。ただ最大光量モードだけは、表示光量を保つのは3分程だけで、その後は最大光量の72〜75%に落として保持するとのこと。こういう、細かいところを厳密に書いてあるのは素晴らしいね。
 えっ「300ルーメンって書いてあるのに3分後には225ルーメンって詐欺だろう」って。でもタジマがウェブに揚げているグラフを見る限り、他メーカー製品は3分どころか最大光量を数字通り出すのは点灯した瞬間だけでその後ダラ下がり、3分経過した頃には50%、ひどい製品は30%程しか出ていなさそうだよ。
 ちなみに携帯照明での唯一の公的基準ANSI/NEMA FL1-2009では光量が10%残っていれば、すなわち300ルーメンを謳うモデルで30ルーメンあれば「そのモードでの稼働時間」と認められてしまう。タジマは原則ANSI/NEMA FL1-2009に則りながら稼働時間だけは社内基準を設定し、70%、すなわち300ルーメンを謳うモデルで210ルーメン保持していないと「そのモードでの稼働時間」とは認めない。この方が人間の誠実な感覚に合致している
 ただし出自が作業用なので、「目的外使用」となる登山に使う場合には誠実にも限界がある。予備電池があって調達もできる前提で設計されている可能性が高いので「予備電池を持っていること」または「サブヘッドライトを持っており、それだけで最低でも下山はできること」または「大光量モードで使い切った後に使える小光量モードの光量と稼動時間で最低でも下山はできる旨確認できていること」が条件になる。
 型番は規則性がある。最初のアルファベットが種類。次の数字2桁が最大光量。最後の一桁が電池で単3が1、単4が2。例えばW151なら最大光量150ルーメン、単3ということになる。

 ペタ!W151。3136円税込。IPX6。△11はこれを選択した。

 最大光量150ルーメン照射距離73m稼働時間2時間30分、50ルーメン8時間45分、10ルーメン32時間の3モードで、切り替えは直感的に分かりやすいダイヤル式
 電池抜62g、単3×2がこれに加わり、本体に電池ボックスが内蔵される一体型なので頭の前で少しゴロゴロ感が出る
 マルチライトとある通りマグネットで鉄に貼り付けたり写真三脚に取り付けたりできる
 出自が建築作業用なので平均的な配光にしてあり、登山でルートを探す用途には不利かも知れないが、まぁそういう時には登山における大光量ハンドライト、2016年04月版に書いたようにハンドライト併用だろう。

 レンズは回転して収納でき保護になり、この場合自動的に消灯するという芸の細かさだ。それでも傷が多くなったらW151専用の交換プロテクターレンズもある。259円税込。


 Amazonリンクの写真では手で扱っているので当然手で脱着するものだと思いきや、硬くてなかなか外れない。取扱説明書にはヘッドバンドのバックルで外す方法が記載されている。

 W151にはシリコンバンドが付属する。消耗したら交換したいものなので、別売りもされているのはありがたい。この辺りもさすが業務用の産物である。ヘッドライトのヘッドバンドの別売り、登山業界ではペツルだけかな?

 登山には関係ないが、シリコンバンドが透明なのはヘルメットに書かれた社名やロゴを隠さず透けて見えるようにとのことだ。

 シリコンバンドは滑りにくいのでヘルメットをかぶって岩登りならそれで良いが、頭に直接装着すると汗が溜まったりして不愉快なので、一般登山用には普通の布ゴム?製ヘッドバンドも必要。
 LE-ZB2、△11が見た時には810円税込で送料が別にかかることになっていたので、これだけを近所の建築資材屋さんで購入した。

 W151はベースをバンドに残して簡単に脱着ができるので、一般登山と岩と両方やる人はシリコンバンドをヘルメットに付けっぱなしにしておき、普段は布ゴム?製ヘッドバンド、岩に来たらヘルメットに移設、でおっけい。何かの拍子に外れて落としたりしないよう、ベースにねじ込んである三脚小ネジを硬貨で外し、ベースを通して本体の三脚穴にねじ込むことで固定もできる。

 ペタ!E201N。6498円税込。IPX6、耐落下2m。3色ありそうなものだが、なぜか黒しかないようだ。
 最大光量200ルーメン照射距離89m稼働時間約5時間10分、100ルーメン9時間、50ルーメン約20時間(ウェブにメーカーが掲示している時間数値はリチウムイオン充電池使用時の数値なので、メーカーが点灯時間特性として掲げているグラフから勝手にニッケル水素電池使用時の時間を読み取った)の3モードで、その切り替えは直感的に分かりやすいダイヤル式。電池抜110g、単3×4がこれに加わる。

 以下で記述するE301Nとの比較で、安価である他に全く存在意義がないのは残念だ。機能で劣るのに、重量もわずかではあるが重い。

 シリコンバンドが付属し、LE-ZB5として別売りもされている。

 シリコンバンドは滑りにくいのでヘルメットをかぶって岩登りならそれで良いが、頭に直接装着すると汗が溜まったりして不愉快なので、一般登山用には別売されている普通の布ゴム?製ヘッドバンドも必要。LE-ZB4、1249円税込。

 タジマのヘッドバンドは小型軽量モデルでは横1本だったが、重量のあるこの大光量モデルEシリーズ用では頭頂を通るバンドを加えた構成になっている。滑りにくいし縁があるヘルメットに付けるシリコンバンドはどのモデルでも横1本。こういう作り分けからも誠実な熟慮が垣間見える。

 ペタ!E301N。7954円税込。IPX6、耐落下2m。3色ありそうなものだが、なぜか黒しかないようだ。

 最大光量300ルーメン照射距離121m稼働時間約3時間、150ルーメン5時間、50ルーメン約12時間(ウェブにメーカーが掲示している時間数値はリチウムイオン充電池使用時の数値なので、メーカーが点灯時間特性として掲げているグラフから勝手にニッケル水素電池使用時の時間を読み取った)の3モードで、その切り替えは直感的に分かりやすいダイヤル式。電池抜100g、単3×4がこれに加わる。ワイドとスポットが切り替えられる上に再点灯時以前使っていたモードで点灯するのは良い。
 ヘッドバンドは上述のE201Nと共通。

 ペタ!E301は単にE301Nに専用充電池が付属するもの。10676円税込。


 もちろん単3×4でも稼働可能だが、個人的には単3でしか運用する気がないので、E301Nとの比較では「要らないものが付属して高価になる」わけで、馬鹿らしい。

 ペツルは「コンスタントライティング」といって同じ光量を保つ建前なので比較できるかな。それにさすがは登山用、「電池消耗してるよ」と暗いモードになった時、その暗い光量は相当長時間点灯できる電池残量を確保してあるらしい。ただもう高価で詳細を見る気も失せる。一応イイカゲンに見たが明るくもない。型番の末尾HBとHB2があり、改良されているようで、下でも混同しているかも知れない。
 ここで挙げた製品にはないが、俯仰の支点は重心に置くべきところ、支点が下にある機種が多いのも、消耗に従い首を垂れそうで嫌だ。

 ピクサ1 E78AHB。5650円。単3×2。IP67水深1m。電池込160gなので、電池が23g/本とすれば電池抜114g。

 ピクサの中では基本モデル。感覚的に分かりやすいダイヤル式で最大光量60ルーメン3時間30分、20ルーメン16時間を切り替え。電池が1本じゃないからこっちに分類したけど明るくない。「防水モデルだから」と考え直そうにもあからさまに重い(T_T)4949
 電池残量が僅かになると自動的に暗くなってそこから10時間以上持続点灯。

 ピクサ2 E78BHB2。8600円。単3×2。IP67水深1m30分。電池込160gなので、電池が23g/本とすれば電池抜114g。

 感覚的に分かりやすいダイヤル式で最大光量80ルーメン3時間30分、20ルーメン26時間を切り替え。

 ピクサ3。8800円。単3×2。IP67水深1m。電池込160gなので、電池が23g/本とすれば電池抜114g。

 感覚的に分かりやすいダイヤル式で最大光量スポットビームで50ルーメン3時間照射距離55m、デュアルビーム40ルーメン6時間30m、ワイドビーム30ルーメン12時間を切り替え。電池が消耗するとサバイバルモードに切り替わり10時間以上15m。

 他のメーカーの製品は?
 あまり興味ない。だってどんどん暗くなって4時間後に30ルーメンになってるヘッドライトと、3時間210ルーメン超を保つヘッドライトを比較して「最大光量は300ルーメンで同じだけど、電池がこっちは4時間持つんだって!」なんて裸の王様で考えるのも馬鹿らしい。
 一応最低条件に合致する機種を列挙しておく。

 フェニックス
 スペックの数値だけ見ると「非常に明るいな」と思うのだが、タジマの箇所で書いた通り、これは新品電池で点灯した瞬間だけの数値だと思われる。Amazonではロクに情報がない機種もあるので、英文で探すことになる。
 点灯させた時に最大光量で点灯してしまう
ようだが、登山用に使う上でほとんど致命的な欠点だ。

 HL30、単3×2、5452円。IPX6、耐落下1m。電池抜86.6g。

 最大光量は「バースト」モードの200ルーメン照射距離40m1時間40分、「ハイ」100ルーメン4時間30分、「ミッド」45ルーメン10時間30分、「ロー」4ルーメン140時間、「SOS」45ルーメン、「レッドライト」1ルーメン。

 HL35、単3×2、8235円。IP68水深2m、耐落下1.5m。電池抜122g。

 高いスペックは14500という特殊な電池が前提で、ニッケル水素電池のスペックを探して記載した。最大光量は「バースト」モードの260ルーメン照射距離90m2時間、「ハイ」200ルーメン3時間18分、「ミッド」70ルーメン9時間、「ロー」30ルーメン18時間、「ムーンライト」0.5ルーメン600時間、「SOS」モード50時間、「レッドライト」1ルーメン100時間、「レッドフラッシュ」1ルーメン。

 HP15。単3×4、8850円。IPX6、耐落下1m。電池抜154.2g。

 最大光量は「バースト」モードの900ルーメン照射距離178mだが照射時間の記載がない。以下「ハイ」400ルーメン3時間10分、「ミッド」150ルーメン8時間、「ロー」50ルーメン44時間、「エコ」10ルーメン170時間。

 HP25。このモデルのみフェニックスの公式ウェブサイトには記載がないので、Amazonに挙がっているスペックに限定して記載する。単3×4、8880円。IPX8、耐落下1m。電池抜183.5g。

 最大光量は「ターボ」モードの180ルーメン4時間40分。以下「ハイ」90ルーメン10時間30分、「ミッド」45ルーメン10時間30分、「ロー」4ルーメン206時間。

 ブラックダイヤモンド。このメーカーは出自が岩登りという重量にシビアな業界ということもあるのだろう、単4が大好きで、単3を使うモデルは1つしかない。

 アイコン BD81070、単3×4、11880円。320ルーメン、照射距離100m。電池込230gなので、電池が23g/本とすれば電池抜138g。

 シングルクリックでメインライトが75%光量で点灯、ダブルクリックでライトが75%光量で点灯、それぞれ長押しで増減光できる。夜間には赤くて暗いモードも使える。この部分は申し分なさそうだ。

 マイルストーン
 最近モンベルショップ以外の大手登山屋さんは揃って置いている。電源が単3×4の機種はMS−C1とMS−C2がある。多趣味をやって来た個人的な感想を言うと、技術情報のほとんどない、雰囲気写真ばかりのカタログは非常に印象が悪い。要するにこういうメーカーは「こういうものを作りたい!」という気持ち=製品コンセプト=書くことがないのだ。
 登山用/キャンプ用で考えた場合、雰囲気を壊さない暖色(電球色というほど赤くなく、メーカーではナチュラルウォームカラーと言っている)、ベルクロテープでバックパックの肩ストラップにも装着できる後部電池ボックスに認識灯が装備されて後続者から見えるのは「登山用として考えた」ということだろう。
 が、、、それ以外の点を、これまでに紹介した製品と比較しながら見ていくと、かなり欠点が目立つ。最大の問題は点灯させた時に最大光量で点灯してしまうことだと思う。
 操作系も煩雑だ。スイッチはライト上部に2つ、下に1つ、電池ボックスに1つ。上部のスイッチは1回押しでそれぞれそのすぐ下のワイド/スポットのメインライトが最大光量で点灯、それぞれ5秒以内にもう1回押すとサブライトに切り替わる。メインライト/サブライトともに暗くする調光は長押し。一番暗くなった時点で1回点滅して今度は明るくなって行き、一番明るくなった時点で1回点滅して暗くなって行く。離した時点の明るさで点灯を続ける。下のボタンは機種で機能が違うので各機種に記述する。消灯時下のボタンを3秒長押しで3回点滅してロックされ、解除も同様。電池ボックスのスイッチは後部認識灯で、押すたび赤→緑→青→消灯。
 ちなみに電池抜/電池込の両方を掲示し、その差は29g/本になっている。

 MS−C1。単3×4。IPX5。電池抜約151g。メインライト1灯最大光量約350ルーメン照射距離120m稼働時間6約時間、約35ルーメン約50時間。サブライト約20時間。8424円。


 下のボタンを押すとフラット/スポットのメインライトが2灯とも最大光量で点灯し、その後さらに長押しで2灯とも120%10秒ブースト。
 ワイドメインライトのサブライトが赤色、スポットメインライトのサブライトが白色。色は迷彩のみ。

 MS−C2。単3×4。IPX5。電池抜約151g。メインライト1灯最大光量約350ルーメン照射距離120m稼働時間6約時間、約35ルーメン約50時間。サブライト約20時間。対象との距離により光量を自動調整する機能を持つ最上位機種。


 下のボタンを押すとフラット/スポットのメインライトが2灯とも最大光量で点灯し、その後さらに長押しでセンサーモード。
 ワイドメインライトのサブライト、スポットメインライトのサブライトともに赤。色は白のみ。

関連記事:
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登山における大光量ハンドライト、2016年04月版
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登山におけるランタン、2016年03月版
登山における小型軽量ヘッドライト、2016年03月版

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2016年3月24日 (木)

登山におけるランタン、2016年03月版

 そもそも、登山にランタンは必要ない。もちろんあったらあった方が、例えば食事を作る際に広い範囲が明るくなるとか利点はあるのだが、そんな些細な利点より荷物を減らし軽量化できた方がありがたいからだ。

 ランタンがどうしても欲しい、という人は、手持ちヘッドライトにモンベルのクラッシャブルランタンシェードを被せるのが一番軽量かつ安価に上がるだろう。


 外観が安っぽく見え、根拠は何もないながら個人的には「これ買うとモンベル儲かるんやろうなぁ」という思いが消せないが、しかし実用性は高い。△11を含めてガサツな人は紛失の心配もあるかな。ということで自分では購入していない。

 モンベルが単3×1のミニランタン、品番1124595(モンベル公式ウェブサイト)を発表し、5月半ばからモンベルショップ店頭にも並び始めた。¥2600+税。
 お尻のボタン本押しで点灯、明るいモード。さらにお尻のボタン半押しで暗いモード、点滅モードへ移行する。

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2016年3月23日 (水)

登山における小型軽量ヘッドライト、2016年03月版

 この記事は新版、登山における小型軽量ヘッドライト、2017年03月版に改訂済。

 登山には、必ず照明機器を持参せねばならない。
 人間は昼行性の動物であり、夜は眼が見えない。深夜でも何も持たず歩ける繁華街に慣れているから危機感をなくしてしまっているが、本来夜は暗闇であり、人間は一歩も歩けない。

 宿泊する時には常にすぐ出せる場所に携帯すべき。薄暗くなりつつある中をトイレに行った場合、帰り照明機器なしでは歩けないこともある。山小屋の居間でゆっくりしていたら消灯し自分の寝床どころか部屋も分からなくなることもある。
 日帰りの予定でも持つべきだ。足を傷めた時、緊急露営するよりコースタイム2時間のところ林道を足を引きずり5時間かかってでも人里に降りた方が安全かも知れない。その途中で日が暮れるとしたら照明機器なしでは無理。緊急露営にしても照明機器なしではどれだけ不安で不便だろう。
 実は登山でなくても必ず1人1個を常に携帯すべきだと思っている。20時に繁華街で大地震に遭ったとして、瓦礫の山と化し普段と全く違う惨状の道路を地獄の業火を避けながら照明機器なしで帰宅できるか。普段は2時でも15時とほとんど同じ感覚で歩け、電車で30分で帰れる場所だから何も考えずに歩いているが、そこが大災害時にどういう場所になるか考える想像力が欠片でもあれば、照明機器なしではいられないはずだと思う。

 △11は入手が容易である点から電気機器の電源を単3に統一すべきだと考えている。また予備電池を含めた重量軽減の観点から電池の本数は少なければ少ないほど良い。すなわち小型軽量機種なら単3×1が絶対条件である。無論普段運用するのは単3アルカリ電池ではなく単3ニッケル水素充電池。ちなみにモンベルのカタログでは製品重量が電池抜/込の両方が掲載されていて、その差は23g/本。
 手回し充電などは必要ない。内蔵電池の寿命とともにゴミになる。
 雨天下でも安心して使うためには、信頼できるメーカー製品で、防滴機能を持っている必要がある。一般にIPX4などと書いてあるのがその表示で、IPのすぐ後の数字が防塵性能、その次の数字が防水性能。Xは評価されていない表示で、IPX4なら防塵評価なし、防水等級が4。防水等級が4なら防塵は評価がなくても問題ない。防水等級について、一般登山には「あらゆる方向からの飛沫」に耐える4が必要充分。すなわちIPX4ならおっけい。ちなみにそれ以上の防水性能は5が「あらゆる方向からのノズルによる噴流水」、6が「あらゆる方向からのノズルによる強力な噴流水」、7が「圧力および時間で外郭を一時的に水中に沈め」ても耐える。8が潜水に耐える等級で具体的な内容を併記する。沢屋さんなど水をカブったり、場合によっては水中に浸かってしまうような人には安心材料かも知れない。

 登山の場合、両手を明けておきたいこと、落下させる可能性を減らしたいこと、荷物を減らしたいことから、照明機器を1つ選ぶならまずヘッドライトだ。ランタンは歩く時に使えず、懐中電灯は片手を占有される上に落とす可能性がある。これらは災害時にも同じことが言える。
 前後に首振りできるのは当然として、その回転軸が重心に近い方が良い。回転軸より重心が高い位置にあると、お辞儀をしてしまう可能性がある。新品をいじってお辞儀しなくても、使ってヤレて来た時に露呈する欠点なので始末が悪い。
 テントや山小屋で暗くて目が慣れている中で自分の目を眩ませないため、また周囲に迷惑をかけないため、点灯した時に暗いモードから始まらなければならない。また明るいモードは気にしないとしても、暗いモードは宿泊場所で多用するので雰囲気を壊さない電球色が良い。暗いモードでの稼働時間が長くなくてはならない。

 以上の観点でモンベルのコンパクトヘッドランプが一押し。

 本当は旧型の品番1124431がオススメで、その上新型が出てからはアウトレットで1905円+税→1520円+税に値下げされ処分されていたためむっちゃお得だったのだが、もうそろそろアウトレットから消えつつある。最大光量26ルーメン照射距離43m稼働時間15時間、11ルーメン26m59時間、5ルーメン6m75時間の3段階調整。暗いモードでの稼働時間75時間と長かったこと、バンドが各色共通の落ち着いたグレーだったのも良かった。誤点灯防止機能はないが、軽量なので首から提げておけば済む。電池抜49g。IPX4。
 ボタンを押すと5ルーメン点灯→11ルーメン点灯→26ルーメン点灯→26ルーメン点滅、と切り替えてくれる。3秒以上切り替えしなかった後にボタンを押すと消灯する。
 「26ルーメンで役に立つんか」と思われるかも知れないが、現に『山と高原地図』に実線で描いてあるルートで早朝出発する程度ならほぼ充分役立ってきた。もちろんよく分からない時に戻るor夜明けを待つ慎重さは必要だろうが。

 新型の品番1124587は少し高価になって、暗いモードでの稼働時間が60時間に短縮されてしまった。2400円+税。最大光量43ルーメン照射距離37m稼働時間27時間、14ルーメン21m60時間、5ルーメン6m60時間の3段階調整。54g電池抜。IPX6(AmazonではIPX4になっているが、モンベル公式ウェブサイトによる)。


 最大光量が上がった上に稼働時間が延びたのは、暗い中登山道を歩く機会の多い人には朗報だろう。光を拡散して広い範囲が見えるようになったので、光量が増えたにもかかわらず到達距離は短くなった。
 誤操作防止がついて、点灯が2度押しになった他特別な操作がないのは素晴らしい。5ルーメン時の稼働時間が短くなったと言っても致命的な欠点にならない範囲ではある。

 タジマ
 「臍曲がり承知でどうしてもモンベルを使いたくない」という人にお勧めする。巻尺とかノギスで有名なメーカー、工事現場で手元を照らす観点からの開発だ。信頼性は言うまでもないだろう。
 ウェブサイトで実測特性などをかなり詳しく掲載している
のは好感が持てる。電池が減っても明るさが変わらないようにされており、電池が切れる前に3回点滅して暗くなることで警告してくれる。
 登山で使うなら暖かい電球色にして欲しいところだが、白々しい白色光なのは開発動機から考えるに仕方ない。
 作業用に平均的な配光になっているようだが、例えば「沢を渡った後に登山道の続きになっている森の切れ目を見つける」とか結構大変なので、暗い登山道を探すとなるとスポット的な配光の方が有利かも知れない。
 型番は規則性がある。最初のアルファベットが種類。次の数字2桁が最大光量。最後の一桁が電池で単3が1、単4が2。例えばM071なら最大光量70ルーメン、単3ということになる。

 単3×1の機種はペタ!M071。3943円税込。IPX6、耐落下2m。

 モンベルと比較するとわずかに高価にはなるが、最大光量70ルーメンは魅力で、この時の稼働時間は約4.5時間。照射距離は30mと短く、照射範囲の広さが伺える。他に30ルーメン約7時間、5ルーメン30時間の3モードで、再点灯時は最後に消灯したモードで点灯する。電池抜23g、極めて軽量だ。
 マルチライトとある通りどこぞにクリップしたりマグネットで鉄に貼り付けたり写真三脚に取り付けたりできる

 白々しい色が嫌いな人には、M071用アクセサリーキットLE-ZL2に赤いディフューザーが入っているが、暖色というより赤色になってしまうかも。また脱落しやすいというインプレを散見するので使用には要注意だ。

 白いディフューザーと、カメラのアクセサリーシューに載せるアダプターもセット。

 ヘッドバンドは通常の布ゴム?製が付属し、消耗したら別売りもある。ヘッドバンドLE-ZB3。1459円。

 この手の小物はもし「送料がついて馬鹿らしい」と思われる場合近所の建築資材屋さんとか工具屋さんで入手できるかも。

 これ以降はあまりオススメしない機種。「△11は何を以ってダメと判断したのか」読みたい人が読めるように書いただけなので、面倒だったら読まなくて良い。

 マイルストーン
 最近モンベルショップ以外の大手登山屋さんは揃って置いている。電源が単3×1の機種はMS−A1とMS−A2がある。多趣味をやって来た個人的な感想を言うと、技術情報のほとんどない、雰囲気写真ばかりのカタログは非常に印象が悪い。要するにこういうメーカーは「こういうものを作りたい!」という気持ち=製品コンセプト=書くことがないのだ。
 山の中で小さいものを落とした場合、発見できるとも、拾いに行けるとも限らないので、電池ボックス蓋が紛失防止ストラップ付きなのは良い。
 電球色
なのも嬉しい。
 
が、、、それ以外の点を、これまでに紹介した製品と比較しながら見ていくと、かなり欠点が目立つ。
 暗くする調光は長押し。一番暗くなった時点で1回点滅して今度は明るくなって行き、一番明るくなった時点で1回点滅して暗くなって行く。離した時点の明るさで点灯を続ける。
 最大の問題は点灯させた時に最大光量で点灯してしまうことだと思う。
 それなのに結構高価

 MS−A1は¥3456税込。最大20ルーメン照射距離30mで無段階調整。稼働時間は最大光量で約4時間、10%光量で約55時間。電池抜27g。IPX5。

 モンベルとのスペック比較では軽量だということになるが、個人的印象では、本当に満たしてほしい要件を諦めてまでここまで軽量な製品を選択する必要は感じない。

 MS−A2は¥4104税込。最大70ルーメン照射距離50mで無段階調整。稼働時間は最大光量で約3時間、10%光量で約10時間。電池抜27g。IPX5。

 最大光量が明るいのは良いが、稼働時間が短すぎるという欠点が上乗せされる。要するに「何でもできる」を目指すと「何もできない」結果を生む好例で、単3×1の製品に光量を要求したらこうなってしまうのだ。

 富士灯器はマイルストーンを作っているメーカーらしく、電池ボックス蓋が紛失防止ストラップ付きの外観もマイルストーンと共通。

 ZEXUS ZX−250。最大90ルーメンで無段階調整。稼働時間は最大光量で約3時間、10%光量で約30時間。電池抜27g。
 調光方法もマイルストーンと似ており点灯させた時に最大光量で点灯してしまう欠点持ち。暗くする調光は長押し、一番暗くなった時点で1回点滅して明るくなって行き、一番明るくなった時点で1回点滅して暗くなって行く。離した時点の明るさで点灯を続ける。点灯or調光後5秒以内の1回押しでさらに暗い電球色へ切り替え、そちらでも調光できる。

 誤点灯防止機構を働かせるのに消灯時に4秒長押しで設定が必要なのは良くない。荷物に詰め込む機会が多い登山用には、何の操作もせず誤点灯防止する製品が向いていると思う。
 防滴じゃないのは致命的に近い欠点。降雨に晒す可能性のある登山では安心して使えない。
 それなのに特別安価でもない

 ジェントス
 一般に「安価なヘッドライト」というお題でたいてい名前が挙がっているが、何とまぁ、あれだけ多数の機種を出しているのに、「一応名前を出せる」水準ですら、1機種しか見つからなかった。単4を気にせず使う上に電池3本が大好きなメーカーなので、ほとんどの機種が△11基準では足切りに遭ってしまう。メーカーの姿勢が△11と合わないのだろうな。

 GD−002D。1102円税込。単3×1。最大光量50ルーメンで8時間、エコモードで18ルーメン16時間。電池込55gなので、電池が23gとすれば電池抜32g。IP54、耐落下1m。

 安価だけど、それだけ。点灯させた時に最大光量で点灯してしまう欠点持ち。
 暗いモードが明るすぎ、持続時間が短い
 頭頂を通るバンドがあるのも欠点で、これがあると要らない時にも首掛けに変更がしにくいのだ。あれは「ヘッドライトの光源が電球で、だから電池が単3×4とか必要で、ヘッドライトが重くならざるを得なかった時代に、横のバンドだけではずり落ちてしまうがために必要になる装備」なのである。光源がLEDで単3×1の小型軽量機種に装備しているのは「何も考えずに漫然と作っているのではないか」と思えてしまう。

 フェニックス

 HL23。4550円。単3×1。150ルーメン1時間20分、50ルーメン5時間40分、3ルーメン100時間。電池抜約52g。防水性能IP68水深2mで30分、耐落下1.5m。

 光量変化の差が大きく大光量と長時間使用を両立しているのは好感が持てる。ただ個人的には登山における大出力ヘッドライト、2016年03月版に書いた通り、タジマ以外の「大光量」は額面通りに信じていない。だから「小型軽量ヘッドライトでありかつ大出力ヘッドライト」と言えなくもないこのモデルもこちらの記事で評価している。ANSI/NEMA FL1-2009には準拠しているので、最大光量モードで1時間20分後に15ルーメン保つ保証はされている。
 防水、耐落下性能も優秀
 側面押しボタン0.5秒の長押しで点灯させた時に最大光量で点灯してしまうのは問題だ。その後押すとモードが変わる。長押しで消灯。
 色は白色光だと思う。はっきり登山/キャンプ用でない機種で電球色を期待するのは無理だろう。
 高スペックで利点が多くなかなか頑張っている感はあるが、登山用で見ると残念な点もあるし、さすがに高価だな(^_^;

 マムート

 S-Flex。2592円。単3×1。電池抜22g、電池込48g。すでに製造中止のようだ。

 ブランド志向以外、特に積極的に選ぶ理由もない。

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