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2016年5月14日 (土)

登山における靴、2016年05月版

 靴に関しては登山における服装、2016年05月版では触れなかった。なぜかを含めて解説する。

 まず、靴は「良い」「悪い」以前に「合う」「合わない」が重要な世界なので、具体的製品をお勧めしにくいのだ。
 もちろん常識的な条件というのはあって、それは「防水防湿」「ハイカットまたはミドルカット」「靴底が硬い」「靴底に逃げがある」「靴底が滑りにくい」「サイズが合っている」であろう。

・防水透湿
 防水性は必須である。 「予定している日程、ずっと良い天気予報だから大丈夫」というわけにはいかない。山の上は下界と天気が違うし、変わるのも急で、また悪くなった時は風も雷も下界より激しい。絶対に悪天候に備える用意は持たねばならない。
 履いている時間が長いため、透湿も絶対に必要。身体から出た蒸気が抜けないと結露し、防水でも身体はびしょ濡れになる。水は熱の伝達が早いので、身体が濡れると冷える。身体が冷えだせば遭難の危険が一気に高まる。運動量が大きいため、ただ透湿性がありさえすれば何でも良いわけではなく、ある程度高い透湿性が必要だ。

・ハイカットまたはミドルカット
 靴の背が高く、くるぶしまで覆われている靴である。足首をひねる危険を減らせ、防水性が保たれる。
 ハイカットが良いと思うが、現物を履いてみて「足首が固められてしまうので違和感があまりに強い」という人はミドルカットも検討の余地がある。あまりに低いと雨水が入るのでローカットは不可。

・靴底が硬い
 登山道は平面または階段状に整備された場所ばかりではない。いや言うまでもないがそこまでは整備されていない道の方が多い。靴底が固ければ、安定しているが尖った岩の上を踏んで行けるとか、楽なのである。また靴底が変形しないので、靴と足の間での擦れが少なくなる。登山靴として使うなら、店員に了承を貰って人力で曲げてみること。かなり力を入れてもあまり曲がらない程度のが良い。

・靴底に逃げがある。
 夏山の登山靴として使うためには、岩や土の上を歩く想定が必要だ。「当たり前」ではない。登山靴には雪や氷の上を歩くのを主の想定にしている製品があるためだ。
 岩や土の上を歩くには、靴底面が平面ではいけない。靴底前部が斜めに上がっている靴が「岩や土用」である。

・靴底が滑りにくい
 濡れた岩の上も歩いたりするわけで、滑りにくいに越したことはない。ビブラムソールが有名だ。他のメーカー製でも別に構わない。例えばモンベルは自社製のトレールグリッパーを使うモデルが増えてきた。どれを選んでも完全に滑らなくなるわけではない。

・足長が合っている
 普段履いている靴のサイズを店員に伝えて試着を要請し、素直にそのサイズを持ってくるような店は相手にしてはならない。まともな登山屋なら、必ずまず足長を実測するはずである。測定した数値に1cm足したサイズが検討のベースだ。その上で、実際に履いて歩く靴下の現物を履いた上で試着する。
 なぜかというと、傾斜のある不整地を長時間歩くという普段の状況では経験し得ない状況に出向くわけで、下界の平面で素人が短時間歩いた経験から導き出した主観的な印象など何の意味もないからだ。特に下りでは何時間も体重が爪先に集中し爪先を傷めてしまう危険がある。

・足幅が合っている
 足長の次に重要なのは足幅。日本人は3Eの人が多いという。で、モンベルなど日本のブランドはこれを標準として採用していることが多い。シリオはイタリア製だが日本で企画されたブランドらしく3Eが標準だ。幅の広い人は4Eで、モンベルの「ワイド」はこれ。幅の狭い人は2Eで、ヨーロッパ製品はたいていこれである。

 以上の話を踏まえて、信頼できる山道具屋にて試着の上で購入すべきだ。

 靴の履き方もちゃんとすること。
 足を入れたらカカトをコンコンと地面に軽くぶつけ、足のカカトを靴のカカトに合わせる。購入時に足長より1cm長いのを選んだから、足のカカトを靴のカカトに合わせれば爪先前には1cm隙間があるはず。この状態で靴紐を縛る=後ろにくくりつけられる形になる。足で一番弱く痛めやすいのは爪先、靴先に接触させないようにするわけだ。登りよりも下りで靴紐をきつめに締めるのだが、その理由は改めて説明不要だろう。

 以降モンベルのラインナップに従いどんな靴があるかを説明する。他のメーカーでも靴底の形状と硬さ、カットの高さなどを見ることで自分の使い方に合う靴を選べるはずである。

 アルパインクルーザ−3000はモンベル登山靴の最高峰であり、アルパインクルーザー2800はその次。だが「迷ったら上のグレードで」という法則にこの2つは全く当てはまらない。保温材が入っており、夏山では暑い。またアイゼンとの相性を優先して靴底下面が平らに近く、岩や土の上は歩きにくい。

 このトップ2モデルに関しては、インターネットで登山靴の選び方を人に聞くような初心者は買ってはならない。

 次はアルパインクルーザー2500、アルパインクルーザー2000、ツオロミーブーツ、このあたりが夏山用の登山靴として使われるべきグレードだ。

 この3モデルの中で靴底が一番硬いのはアルパインクルーザー2500で、アイゼン装着にもある程度対応する。岩や土の上を歩く想定で靴底前部は斜めに上がっている。

 

 男性用と女性用があるが実際には色設定とサイズ設定が違うくらいで、これは以下全モデルに共通だ。

 アルパインクルーザー2000は、アルパインクルーザー2500との比較だと少し靴底が柔らかくはなるが、夏山登山に使う上では適正な範囲。


 外装が革製で少し高級感があるかな、という程度で、次に挙げるツオロミーブーツと本質的にはあまり変わらないと思う。とすれば「外観が気に入った」という人以外は、これを選ぶならツオロミーブーツの方になると思う。

 ツオロミーブーツは夏山登山に向く靴の中では手頃で、アルパインクルーザー2500と並んでオススメの一つ。


 残雪期も含め幅広く本格的に続けたいならアルパインクルーザー2500、夏山に限定するならツオロミーブーツかな。

 テナヤブーツはツオロミーブーツの靴紐をステンレス鋼ワイヤーに置換したモデル。ダイヤルを回すと締め上げ、ダイヤルを引っ張り出すと「カチン」という音とともに緩む。

 ハイカットブーツの靴紐を上まで締めるのは慣れるまで大変なのだが、これなら足を入れてダイヤルを回すだけで締められる。歩いているうち緩んでくるという話もあるがそれは靴紐も同じだし、増し締めは非常に簡単である。ワイヤーが切れた場合通常の靴紐を持っていれば非常用ループに通して帰って来るくらいは可能だ。予備のワイヤーと工具を持っていた場合はその場で交換できる。スノーボード用などでは多用されているが、まだ登山靴の分野で実績が少ない。また靴紐の微妙な調整はできない。

 ハイカットは違和感あるという人はミドルカットのタイオガブーツ。

 足首は動かしやすくなり違和感は減るが、その分足首の保護や防水性は落ちる。

 名称は同じミドルカットながら、ティトンブーツはさらに少し低くなる。

 レインウェアを選択する際に裾の長さを少し長めで選んだ方が良いかも知れない。

 ラップランドブーツは靴底が柔らかく、あまりお勧めしない。

 モンベルウェブサイトでも「日帰りハイキングから富士登山まで」となっており、要するに余程整備されたコースしか歩けないということだ。

 もし「近所に信頼できる山道具屋さんがなく、どうしても通販で買うしかない」という状況であれば、自己責任で「足長+1cm」のツオロミーブーツを買ってみるということになるだろう。以前は「通販でどれを買うべきかなんて一切書けるか」と書かなかったし今でもそう思うけど、ウェブサイトで色々読んでいると「普段履いているサイズで通販して酷い目にあった」とかいう話も出てきたりするので、それよりはマシだと思う。

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登山における用具全般、2016年05月版

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2016年5月12日 (木)

撥水性と防水性は違う概念

 レインウェアなどの話を読んでいると、どうも撥水性と防水性を混同している人がものすごく多い気がする。まぁメーカーでも「ちゃんと分かってないだろお前?」っていうところもある程だからなぁ(^_^;

 撥水性も、防水性も、字の通りである。撥水性は水を弾くこと。防水性は水を防ぐこと。

 「撥水性だけど防水性じゃない」とどうなるか。生地に雨滴が落ちたとして、水が玉になって転がり落ちる。小雨ならこれで身体を濡らさずに済むのだが、水圧が掛かるような本降りになれば防水性がないので水は生地を通る。

 「防水性だけど撥水性じゃない」とどうなるか。生地に雨滴が落ちたとして、水がべったり生地表面に広がり水の膜を作る。水圧が掛かるような本降りになっても水は生地を通らない。

 例えばゴアテックス等防水透湿のレインウェアを手入れする際、施すのは撥水処理だ。決して防水処理をしてはならない。
 防水透湿のレインウェアの多くは「水蒸気の粒は通るが水の粒は通らない」程度の小さい穴が多数空いていることで防水性と透湿性を両立している。そこへもし防水処理を施せば小さい穴を塞いでしまうので透湿性が失われ、ただのビニール合羽にしてしまう危険がある。
 表面に水の膜が張ってしまうと透湿性が落ち、身体から出た水蒸気が水になって身体を濡らしてしまう危険性が出てくるので、撥水処理をするのだ。逆に言うと雨が降った時にレインウェアが水を弾かず、べったり濡れるようなら撥水処理をする時期だということ。

 撥水性と防水性を峻別せずに話しているような人の話を聞いていてはいけない。大げさでなく、殺されるよ。

 ちなみに巷で「防水スプレー」を称して売っている商品の多分全てはここで言っている「撥水」を目的とするもので、「ゴアテックスのレインウェアのお手入れには防水スプレーをかけて下さい」などというウェブサイトが出てくるのもこのせいである。
 中身に「フッ素」とあったらここで言う「撥水」。
 もし「防水」するための物質を入れても、多分スプレーごときで「防水」にはならんよね。防水機能がないものに防水と書くなよ、、、

関連記事:
登山におけるレインウェア、2016年05月版
ゴアテックスと類似品の差

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2016年5月10日 (火)

登山における計器と地図、2016年05月版

 いろいろな考え方があるようだが、個人的な意見を書く。いつものように、理由を添付するのでそれを読んで納得できたら自己責任での採用を検討し、納得できなければ採用しなければ良い。

 まず、そもそも「初心者向けコースなら地図やコンパスを持ち歩かなくても道には迷わない」という意見があるが、これは、、、変な言い回しになるが「もし正しくても間違っている」と思う。
 地図やコンパスは道に迷ってから出しても無駄で、自分が地図上のどこにいるのか=自位置が分かって初めて「こっちに行けば良いだろう」という話になるのである。自位置が自明である段階から自位置を把握し続ける、そのための地図とコンパスなのだ。地図やコンパスを以ってしても自位置が分からなくなったら分かる場所まで戻る。これが鉄則だ。
 今歩いている道で迷う可能性があるかどうかよりも、迷う可能性がない段階から地図やコンパスに接して使えるようになっておかないと、迷う可能性のある場所に行きたくなってから一生懸命学んでも時間がかかる。よって普段の街歩きからコンパスや地図に触れて自位置を把握し続ける訓練をするべきと考える。

 コンパス。地図とともに必須だ。

 以前はプレートコンパスを勧めていた。動作温度保証がある、縮尺に応じた定規があるなど利点はないことはないし、もちろん大きな問題もない。しかしいずれも今は積極的にお勧めしない。もちろん持っても良いのだが、普通の登山者にそこまで本格的なコンパスが要るか?と思うのだ。登山の世界が体育会系の登山部/山岳会の風土を引き継いでいて「何が何でも本格的な機材を」という空気が残っているのなら、従う義務はない。「将来、薄くなった道を探しながら歩くなんてこともやってみたい」という人はこっちにしておけば買い替えが省けるかも知れない。有名メーカーとしてはフィンランドのスントとスウエーデンのシルバが知られている。

 例えばスントA30/シルバNo.3「レンジャー」。


 これらが登山の世界で普通の人が使うコンパス最高峰。
 蛍光が入っているが、特別必要性を痛感するような経験はしていない。スントA30の使用温度範囲は摂氏ー35度から+60度。シルバNo.3は摂氏ー40度から+60度。

 例えばスントA10/シルバNo.7「フィールド」。

 ルーペ機能がない、プレートが短いなど、初心者向けとされている。スントA10の使用温度範囲は摂氏ー30度から+60度。シルバNo.7の使用温度範囲は摂氏ー20度から+60度。

 最近積極的にお勧めしているのは、腕時計のベルトに通すコンパスだ。出すのが億劫な本格的コンパスなどより、見たい時に気軽にすぐ見られることがコンパスにとって重要だと思う。
 Gショックなど腕時計のベルトが分厚いと通らない場合もあるのは要注意。
 以下いくつか例を挙げるが、どれでも良いと思う。夏山前提であり、まして腕につけているので、動作温度保証は必要ない。もちろん事前に下界で機能することを確認すること。

 ビクセン。


 東京磁石工業。


 腕時計やスマートフォンにコンパス機能が入っていたら要らないかというと、そんなわけには行かない。電池が切れて使えなくなるものは、ないものとして考えねばならない。

 自分では、腕時計のベルトにモンベルのスリップオンリストコンパス1827638を装着した上で、非常用品袋にスントA30を入れている。

 地図はコンパスとともに必須。

 これも体育会系の登山部/山岳会の風土を引き継いでいて「国土地理院の1/25000地図が必須」とかいう人がいるかも知れないし、その方が細かい地形まで見えて自分の位置は分かりやすいかも知れない。が、最初からそこまで必要とは思えないし、これは消耗品なので、行きたい場所に合わせて買った方が無駄が出ない。

 個人的には昭文社の「山と高原地図」が良いと思う。コースタイム、危険箇所、水場などの情報も得られる。各山域ごとに毎年出ている。


 紙製ながら防水なので雨の中でも見られるが、個人的には原本を風に飛ばされると困るし、気軽に毎度出して見られるようにするため、カラーコピーしてマップケースに入れて使っている。原本も非常用品袋に入れて持ち歩く。

 そのマップケース、防水で、適当に重くないのならどれでも良いと思う。マップケースが地図原本より小さい場合、使う範囲を表に出して使わない部分を折って入れる。地図はもし必要になった場合に備えて、切らない。

 以前使っていたのはハイマウント/クラレファスニング。随分前からの定番商品だったが、最近廃盤になったのかメーカーサイトで検索できない。


 左がM、右がL。結構使い込んだ末ではあるが、折り返し部分から破れてしまったのと、ベルクロテープが剥がれてしまった。

 次に選んだのはモンベルで、△11が使っている旧型は軽量化を優先したせいなのかすぐに破れてしまい交換してもらい、その後はかなり丁寧に扱っている。リンクは新型。

 新型になって耐久性能がどうなったかは分からない。

 イスカのドライマップケース。

 使ったことないので誰か人柱をお願いします\(^_^;0101

 高度計はとりあえず要らない。
 登りっぱなしまたは降りっぱなしと分かっているルートに高度計があると「どれだけ来て、どれだけ残っているのか」が分かるので、気分的に随分楽に歩ける。これは概算で充分なので「登山用に腕時計を一つ買う」なんてことになった時に「高度計が付属する機種にしようか」程度の話。

 温度計は要らない。

 ハンディナビは有益だとは思うが、まだ一般化しておらず高価で、未だ初心者が検討する段階ではないと思う。
 もし自分で買うとしたら、という話ならこれ、ガーミンのeTrex20xJ。日本登山地形図、日本道路詳細地図を併用する。

 単3×2。小型軽量。防水防塵は日常生活防水のIPX7。
 「スマートフォンで充分だ」という人もいるかも知れないが、そこはさすが専用機器、手袋をしていても使いやすくしてあるようだし、衝撃や水濡れには比較的強いだろうし、登山中携帯電話の電池は緊急通報用に温存した方が良いと思うんだな。
 高価ではあるが、
日本詳細道路地図を併用すればカーナビにもなるので、自動車に組み込みのバカ高いカーナビ買うくらいならこれ買った方が効率良いかも。
測位は衛星電波のみであり、ポータブルカーナビしか経験のない△11はストレスを感じないはずだが、カーナビとしての」測位性能は車速センサーを併用する組み込みカーナビ、基地局電波を併用する携帯電話に劣るだろう。 
 上位版のeTrex30xJは電子コンパスと気圧高度計がついているが、16000円も高価になり馬鹿らしい。下位版のeTrex10Jは拡張性が低くもったいない。内外価格差が大きいのは残念で、サポートの手厚い並行輸入業者を検討しても良いかも知れない。
 もちろんこれを携行しても、万が一の故障や誤動作に備え通常のコンパスと地図も携行する必要がある。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版

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2016年5月 6日 (金)

登山における用具全般、2016年05月版

 時間が経過したので登山における用具全般、2013年10月版を改訂する。

 夏山登山を前提として初心者が何を揃えれば良いのか、既存の固定観念にとらわれず解説する。理由をつけるので、理由付きで理解すること。他の人の持ち物リストを見ながら揃える場合を含め、持つ理由が分からないまま買おうにも選びようがないし、持っても活用できず無意味だからである。

 まず最初に挙がるのはレインウェア。
 具体的な選択については登山におけるレインウェア、2016年05月版を参照のこと。

 レインウェア以外の服装に関しては登山における服装、2016年05月版を参照のこと。

 バックパック。具体的な選択については登山における中型バックパック、2016年06月版を参照のこと。パッキングに関しては登山におけるパッキングを参照のこと。

 登山靴。具体的な選択については登山における靴、2016年05月版を参照のこと。

 ヘッドライト。具体的な選択については登山における小型軽量ヘッドライト、2017年03月版を参照のこと。

 ラジオ。具体的な選択については登山における携帯ラジオ、2016年06月版を参照のこと。

 食料。具体的な選択については登山における食料、2016年07月版を参照のこと。

 水。具体的な選択については登山における給水、2016年07月版 を参照のこと。

 地図。コンパス。具体的な選択については登山における計器と地図、2016年05月版を参照のこと。

 非常用品セット。具体的な選択については登山における非常用品セット、2016年07月版を参照のこと。

 最低限の持ち物は以上。

 ツェルトは、予算が許すなら是非持ってもらいたい。小型軽量化が進んで負担にならないし、もし何かあった時に利益が大きい。具体的な選択については登山におけるツェルト、2014年12月版を参照のこと。

 火器については登山におけるストーブ、2013年10月版登山における点火装置、2014年05月版、クッカーについては登山におけるクッカーの縦横比登山におけるクッカーの把手形状登山における角型クッカー、2016年04月版を参照のこと。

 最近持つ人が多くなったトレッキングポールについては登山におけるトレッキングポール、2016年08月版を参照のこと。

 テント泊ならバックパックが大型になり、テント、寝袋、マットが最低限の持ち物に追加される。登山における大型バックパック、2016年06月版登山における一人用テント、2014年03月版登山における寝袋、2015年10月版登山におけるマット、2016年06月版を参照のこと。

 ライト、ラジオ、携帯電話等の電源に関しては登山における電源、2016年08月版を参照のこと。

 以下は持ち物に関する心構え。

 登山に持って行く機材には何にでも言えることだが、持って行く前に、絶対に下界で使ってみること。実際に使ってみないと、本当に使えるかどうかは分からない。本当に使えるかどうか分からないものなど、絶対に登山に持ち込んではならない。あると思い込んでいるものがなかった場合、山の上で遭難を避けられるとは限らない。

 持ち物以外に関する一般的な心構えは登山における心構えを参照のこと。

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2016年5月 5日 (木)

登山における服装、2016年05月版

 時間が経過したので登山における服装、2014年06月版を改訂する。

 まずこの記事は初心者を対象としているので、夏山しか考慮しない。

 現在「レイヤリング」で検索するとモンベルのウェブサイトが一番に出て来て「ウェアの構成を「アウターレイヤー」「ミドルレイヤー」「ベースレイヤー」の3グループに分けて」と書いてあるが、よく見ると「ミドルレイヤーは行動中に着用する「行動着」、休憩中や気温の低いときに羽織る「保温着」があります」とあり、4つに分けて考えるべきであることが分かる。ここではレイヤリングだけでなく服装全般ということで、さらにズボンと帽子と手袋と靴下を加えた8つに分けて考える。

 別に服は全部山用で揃える必要はない。手持ちのものを有効活用しないと費用がとんでもなくなってしまう。しかし、まず安全は確保せねばならないし、できれば快適も確保したい。

 この分野でも、「充分な機能を持つ限りで安価」という条件である限りはモンベルが有力だと思うが、予算に制約がなくデザインの好みとか贔屓とかが他メーカーの製品にあれば、ここに書いた考え方を参考に他社製品を選べば良い。

・アウターレイヤー

 夏山では要するにレインウェアのことである。一番重要なのはこれ。条件は防水かつ透湿。詳細は登山におけるレインウェア、2016年05月版まで。

ベースレイヤー

 要するに下着である。レインウェアの次に重要。登山は行動中と休憩中の運動量の落差が大きいので体温調整が難しいのだが、少しでもマシにするそのキモの一つが下着の選択にかかっているのだ。
 普通下着に多用される綿製は登山には向かない。綿は水を含むので行動中の発汗でびしょ濡れになり、そして休憩に入った時に熱を伝えるので急激に冷える。山道具屋でも綿のTシャツを売っていたりするが、あれは山屋さんが街で着る時に「山屋です」と主張するためのファッションじゃないかな。

 登山用として売っている下着は、速乾繊維か羊毛=ウールが一般的だ。
 速乾繊維は行動中にどんどん汗を発散・蒸発させ汗を溜めないため休憩中に冷えにくい。モンベルのウィックロンやジオラインなら洗濯機で脱水直後にそのまま着れる程水を含まない。夏山で日差しが暑い日なら、水場で洗って軽く絞ってそのまま着ても気持ち良いくらいだろう。羊毛と比較すると安価。
 羊毛は水を含むが、水を含んでもあまり冷えない。以前は「チクチクする」という印象もあったが、最近は改善されて来ている。素材の持つ免疫作用により臭くなりにくい。
 夏山の話なので個人的には速乾繊維を推奨しておく。

 アンダーウェアには厚みが色々あるが、迷ったら薄め。なぜなら行動中にアンダーウェアだけになったり、ましてアンダーウェアを交換することは困難だからだ。特に女性ね。
 お勧めはTシャツ、暑かった時にこれだけになれる。温度調整の幅を広げる観点では半袖を推奨する。焼きたくない人は長袖。肌を焼くってのは軽度の火傷で、水分が失われるため体調を崩しやすくなり、軽視できない。女性は半袖+アームカバーって手もあるかも。
 肩に縫い目がなくバックパックを背負っても肩への食い込みが少ないラグラン袖のが良いかも知れない。

 個人的にはラグラン袖かどうかはあまり影響ないと思う。必須ではないし、そのためだけにわざわざ買い直すような話ではない。
 一番良いのは、アウトレットコーナーのあるモンベルショップに行って値札に「WIC.」って書いてあるTシャツの中から気に入るデザインのを買ってくること。2000円/枚程度で済む。2泊3日程度までなら交換する必要はないが、着た切り1枚予備1枚の2枚は必要だ。

 よく言われることだが、ヒートテックのような吸湿発熱繊維は登山用には向かない。水が蒸発する時に熱を奪って行くのの逆で、水蒸気が水になる時には発熱する、てぇのが原理。ということは行動中は水蒸気として出た汗が水に戻って暑くなる上に汗だく、休憩に入った頃にはびしょ濡れで冷える。あるべき方向と逆になってしまう。

・ミドルレイヤー/行動着

 要はシャツ。Tシャツだけでは寒い時に着るのだから長袖。

 予算が厳しいなら、最初からわざわざ買わなくても良いとは思う。寒い時にしか着ないので汗だくになる可能性は低く、そこまで速乾性だの防臭性だのうるさくしなくても良いと思うのだ。

 買うならベースレイヤーと同じく速乾性素材もしくは羊毛から選ぶ。靴下程臭くならないと思うし、夏山前提なので湿っぽい森の中でも着て歩くことを考えると羊毛より速乾性素材かな。個人的によく使うのは長袖Tシャツ。


 夏山の行動中には標高が高くて風が出てもこの程度がちょうど良いと思う。もちろん体感温度に個人差がある点には要注意ではある。

 寒がりな人ならもう少し厚いのを考える。本来なら温度調整を迅速にするためにはフルジップが良いということになるのだが、、、そういうモデルはあまりに味気がなくなるので、お勧めはこの辺り。

シングルポケット。左は男性用、右は女性用。


 ダブルポケット。左は男性用、右は女性用。

 夏山のみを考えるならウールまでは必要ないと思う。持つならほとんど次のミドルレイヤー/保温着に近い位置付けになる。

・ミドルレイヤー/保温着

 登山は運動量が大きいので行動中はほぼ不要。ただし気温は低いので、休憩などで停止すると急激に冷える。風が出れば尚更だ。3000m級の山の上で朝方となれば普段平地に住んでいる人間には信じがたい寒さ、まぁ平地の真冬並みと考えれば良い。ご来光待ちは時間も長い。
 厚みが色々あるが、迷ったら厚めをお勧めしておく。暑ければファスナーを開いたり脱いでしまえば良いのだが、寒いと本当困る。テーマからは外れるがホッカイロは有益、山上で一泊するなら無論だが、そうでなくても遭難時に朝まで持ちこたえるために。
 帽子付きのパーカーもあるが、これは一番外側に着るブツだけにしておかないと帽子部分がダブって背中でゴロゴロする。登山の場合一番外側はレインウェアで、これは帽子部分があるので、それ以外のブツは帽子なしが原則となる。前述の通りハーフジップのプルオーバーとかハイネックセーターとかは温度調整の観点よりお勧めしない。というわけで帽子部分がないフルジップのジャケットをお勧め

 だいたい出発時には寒いので着込んで出発しすぐ汗だくになって着替え、休憩時には暑いのでそのままいて寒くなり始めてから慌てて着込んでしばらく震える、等というパターンに陥りやすいが「暑くなる前に脱ぎ、寒くなる前に着る」が鉄則。すなわち出発時は寒くても薄着、休憩に入ったら暑くても羽織る。「保温」であって「発熱」ではないので、身体が冷えてからでは効果は薄い。

 大きく分けてフリースかダウン。

 フリースは薄い割に暖かい。湿っても保温性能があまり落ちないのでダウンとどちらかならこっちがお勧め。夏山ではシャミースかクリマプラス100ということになり、上述「迷ったら厚め」からクリマプラス100ジャケットを挙げた。
 高価なりに工夫はあるので、登山道具の専門店で買う利点が全くわけでもない。例えばクリマプラス100ジャケットは袖口に穴が開いていて親指を通すことにより手の甲を保温し袖がずり上がりにくくなるという機能が嬉しい。これはなぜか他の近似モデル、例えばシャミースインナージャケット、シャミースジャケット、クリマプラス100アウタージャケット等には採用されていない。


 絶対に持っているはずのレインウェアを着れば防風性を付加できるので、水蒸気発散の意味からもライニングのついたモデルは選択しない。

 ダウンは小さくなるのと軽いのが利点。湿ると保温性能が落ちるのが欠点。軽量モデルを潰して防水し最後の砦みたくバックパックのどこぞ隙間に持っておくのが良いかも。

 上に挙げたのは800フィルパワーのダウンを使ったU.L.ダウンジャケット。フィルパワーってのはダウンを潰して離した時にどれだけの体積に戻るかを示す数値で数字が大きい程高品質であり小型軽量になるが、800で充分。これを超えるような高いフィルパワーのブツは高価なばかりであまり意味がないと思う。

 ダウンみたく嵩で保温する、合成繊維のブツもある。これはダウン程小型軽量でないがダウン程湿った時の保温性低下が著しくない、というわけでダウンとフリースの中間的存在と言えるか。モンベルではサーマラップジャケット。

 左は男性用、右は女性用。

・ズボン

 速乾性素材でできていて、伸縮性のあるものをお勧めする。

 人間下半身は上半身程には寒さを感じないと言われているので、迷ったら薄め。街中で真冬に普通の厚さのズボンで歩いているということは、万が一夏用の薄っぺらいズボンで寒かった時でも上からレインウェアを着込めばどうにかなるハズ、それより昼間歩行時の暑さに対応する方が得策。
 伸縮性は、必要性がよく分からなければ一度試着をお勧めする。登山は何時間も脚を挙げ下げするので、そこで伸縮して突っ張らなければ労力が断然小さくなるのだ。まして汗や雨で湿ればさらに差は大きくなる。立体裁断等で対策しているモデルもあるが、個人的には伸縮の代わりにはならない、すなわち伸縮性必須と考える。

 安価で伸縮性があり薄手のズボンということでストレッチO.D.パンツにリンクを貼ったけど、長さを合わせ、それでも合わなければ裾上げせねばならんので、体験を兼ねてお店へ行った方が良いかもなぁ。

 ところで最近女性でスカートやキュロットで登る人が多いらしいが、急な斜面だと下から見えてしまうぞ。ずっと気にしながら歩くなんて面倒だし、脚の保護の観点からも最初は長ズボンをお勧めする。

・帽子

 目的は頭の保護と保温。個人的に気に入って使っているのはモンベルのREV.バードビルキャップ。

 サイズ調整はゴム紐を引っ張るだけで簡単。ツバは風に負けて曲がるので帽子が飛ばされる危険が少ない。使わない時には丸めてポケットに突っ込める。風がなくなったり、ポケットから出して被ると、ちゃんとツバがあるべき位置に戻る。

・手袋

 目的は手の保護と保温。
 夏山ならホームセンターで一束いくらの綿の軍手で良いんじゃないかな。例えばこんな感じ↓

 行動食を食べるなど行動中にも外さねばならん場面が多く、防水する意味もあまりない。岩を握って攀じ登ったりしてどうせ早く傷むので、高価な手袋なぞもったいないだけである。というわけで「手は濡れるもんだ」で済ませて来た。ただ△11は介護職時代によく「手が温い」と言われたので、熱の発散が多く手が冷えない質だと思う。手が冷える人は別に考える必要があるかも知れない。

・靴下

 ここでも速乾性の合成繊維か、羊毛を選択することになる。個人的には臭くなりにくい羊毛をお勧め。合成繊維は防臭加工したと言ってもやっぱり臭くなる。△11の足が特別臭いだけ(^_^;?
 でも羊毛なら1日歩いた後、女性の前で靴脱ぐのも平気。

 登山の場合靴下は緩衝材でもあってかなり分厚いものを選択する。モンベルで言うと「トレッキング」。登山靴を買う場合に靴下も一緒に買うか、手持ちの靴下を持参すべきである。靴を選ぶ時と違う靴下を履いて歩くなら靴のサイズを合わせた意味がない、、、とまでは言えないが、減ってしまう。店で靴下を借りて合わせた場合は、どういう厚みの靴下を借りて合わせたのか確認しておくこと。

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登山における用具全般、2016年05月版

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2016年5月 4日 (水)

登山におけるレインウェア、2016年05月版

 時間が経過したので登山におけるレインウェア、2014年01月版を改訂する。

 まずこの記事は初心者を対象としているので、夏山しか考慮しない。

 登山に、レインウェアは必須である。
  「予定している日程、ずっと良い天気予報だから大丈夫」というわけにはいかない。山の上は下界と天気が違うし、変わるのも急で、また悪くなった時は風も雷も下界より激しい。絶対に悪天候に備える用意は持たねばならない。
 下界だと雨に備えて持つのは傘だが、山の上では強い風がある時が多く、雨への備えとしては役に立たない。
 濡れると不快で寒いし、ズボンが重く足に引っついて疲労が甚だしくなり、遭難に直結しやすい。

 登山用のレインウェアに必要な条件は、防水透湿である。
 撥水だけではダメ。水を弾く撥水と、水を通さない防水は別の概念で、撥水だけだと土砂降りとか、長時間雨に降られた際に水が中に通る。詳細は撥水性と防水性は違う概念で。
 登山の場合着ている時間が長いため、透湿が絶対に必要。身体から出た蒸気が抜けないと結露し、防水でも身体はびしょ濡れになる。水は熱の伝達が早いので、身体が濡れると冷える。身体が冷えだせば遭難の危険が一気に高まる。運動量が大きいため、ただ透湿性がありさえすれば何でも良いわけではなく、ある程度高い透湿性が必要だ。

 雨が急に降って来た時に、雨宿りできる場所はない。登山靴を履いたまま迅速に着れる必要がある。もちろん降って来そうな時には早めに着込んでおく判断が欲しい。
 着る時にはファスナー、ボタン、ベルクロ等ちゃんとしたことを確認すること。濡れていることに気づいた時には広範囲べったりになっている可能性もある。
 厳しい条件で使うものなので、薄っぺらくなる超軽量モデルは初心者にはお勧めしない。

 昔は防水透湿のレインウェアがなかった、もしくはあっても極めて高価で、また頑強でなくすぐ剥離して使えなくなったため、昔からの登山者は「ウィンドブレーカーを別に持て」という人がいるが、そんな配慮は今のレインウェアに必要ない。レインウェアをウィンドブレーカーとしても使う。
 サイズを選ぶ際に迷ったら大きい方を買うこと。寒い時には着込んだ上に着れる必要があるから。

 △11は登山用のレインウェアに関してモンベルしか考えない。無論他のメーカーも出しているのだが、良いものが安価で、モンベルしか考慮しなくて良い状態にある。

 モンベルは結構毎度改良されており旧型はアウトレットで処分されるので、新型が出た直後で自分に合うサイズがあればそちらを狙っても良い。改良への執念は買うが、実用面で「こんなん出ちゃったら旧型を使う気をなくすぞぉ」みたいな革命は起きていない。
 男性用と女性用が分かれているモデルが多いが、胴回り等少し細めである点、色の設定が女性向けに考えられている点、ロゴマーク中の色付きの菱形が男性用が青に対し女性用が赤になる点を除けば問題なく使えるはずだ。

 「モンベルだけでもあまりにたくさん商品があるので、わけがわからない」という人もいるだろうから、簡単に位置付けを解説する。まず防水透湿素材にWLゴア&アソシエイツ製のゴアテックスを使うモデルと、自社製のドライテックやハイドロブリーズを使うモデルに分ける。
 ゴアテックスを使うモデルは正統型がストームクルーザー、軽量型がトレントフライヤー、普及型がレインダンサー。
 自社製防水透湿素材を使うモデルは軽量型がピークシェル、普及型がサンダーパス、超軽量型がバーサライト。特殊な製品として通気性があるレイントレッカー、半袖にもできるコンバーチブルレインがあるが、初心者が検討するようなものではなかろう。

 詳細はゴアテックスと類似品の差に委ねるが、透湿性に差があったとしても、個人的には初心者ののんびりペースで透湿性が不足するなんて考えにくいので、ゴアテックスにこだわる必要はないと思う。

 個人的なお勧めはジャケットがピークシェル。男女兼用。そんなに高価でないのに軽いのだ。13900円税別、平均重量202g。

 ちなみにゴアテックス製の軽量モデルトレントフライヤーとなれば21000円税別もするのに平均重量215g/194gなのだ。

 軽くなくても良いから安価で丈夫な方が良い、という方はサンダーパスで充分。男女別の設定となっている。8500円税別、平均重量340g/285g。

 パンツのお勧めはサンダーパス。男女別の設定となっている。5500円税別、平均重量239g/216g。

 ジャケットでお勧めしたピークシェルであるが、パンツはお勧めしない。登山中に雨が降ってきた時には迅速にレインウェアを着る必要があるところ、登山用の靴は足首まで覆っている上に靴底が滑りにくく、非常に脱着がしにくい。そのため登山用のレインウェアは長いサイドファスナーがあって大きく裾を開けるようになっているものなのだが、ピークシェルのパンツにはこのファスナーがない。登山用として致命的欠点に近いと思う。
 登山中パンツは草や小枝などと擦れる。軽量型は生地が薄いので、パンツだけでも丈夫なモデルを選ぶと、全体として製品寿命を延ばすことにもつながる。 

 コンバーチブルレインはピークシェルをベースとしているようだが、パンツはサイドファスナーがあるので、これを検討しても良いかも知れない。ファスナーが多い分だけ重くなってしまうが、仕方ない。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版
ゴアテックスと類似品の差

撥水性と防水性は違う概念

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