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2016年5月 5日 (木)

登山における服装、2016年05月版

 時間が経過したので登山における服装、2014年06月版を改訂する。

 まずこの記事は初心者を対象としているので、夏山しか考慮しない。

 現在「レイヤリング」で検索するとモンベルのウェブサイトが一番に出て来て「ウェアの構成を「アウターレイヤー」「ミドルレイヤー」「ベースレイヤー」の3グループに分けて」と書いてあるが、よく見ると「ミドルレイヤーは行動中に着用する「行動着」、休憩中や気温の低いときに羽織る「保温着」があります」とあり、4つに分けて考えるべきであることが分かる。ここではレイヤリングだけでなく服装全般ということで、さらにズボンと帽子と手袋と靴下を加えた8つに分けて考える。

 別に服は全部山用で揃える必要はない。手持ちのものを有効活用しないと費用がとんでもなくなってしまう。しかし、まず安全は確保せねばならないし、できれば快適も確保したい。

 この分野でも、「充分な機能を持つ限りで安価」という条件である限りはモンベルが有力だと思うが、予算に制約がなくデザインの好みとか贔屓とかが他メーカーの製品にあれば、ここに書いた考え方を参考に他社製品を選べば良い。

・アウターレイヤー

 夏山では要するにレインウェアのことである。一番重要なのはこれ。条件は防水かつ透湿。詳細は登山におけるレインウェア、2016年05月版まで。

ベースレイヤー

 要するに下着である。レインウェアの次に重要。登山は行動中と休憩中の運動量の落差が大きいので体温調整が難しいのだが、少しでもマシにするそのキモの一つが下着の選択にかかっているのだ。
 普通下着に多用される綿製は登山には向かない。綿は水を含むので行動中の発汗でびしょ濡れになり、そして休憩に入った時に熱を伝えるので急激に冷える。山道具屋でも綿のTシャツを売っていたりするが、あれは山屋さんが街で着る時に「山屋です」と主張するためのファッションじゃないかな。

 登山用として売っている下着は、速乾繊維か羊毛=ウールが一般的だ。
 速乾繊維は行動中にどんどん汗を発散・蒸発させ汗を溜めないため休憩中に冷えにくい。モンベルのウィックロンやジオラインなら洗濯機で脱水直後にそのまま着れる程水を含まない。夏山で日差しが暑い日なら、水場で洗って軽く絞ってそのまま着ても気持ち良いくらいだろう。羊毛と比較すると安価。
 羊毛は水を含むが、水を含んでもあまり冷えない。以前は「チクチクする」という印象もあったが、最近は改善されて来ている。素材の持つ免疫作用により臭くなりにくい。
 夏山の話なので個人的には速乾繊維を推奨しておく。

 アンダーウェアには厚みが色々あるが、迷ったら薄め。なぜなら行動中にアンダーウェアだけになったり、ましてアンダーウェアを交換することは困難だからだ。特に女性ね。
 お勧めはTシャツ、暑かった時にこれだけになれる。温度調整の幅を広げる観点では半袖を推奨する。焼きたくない人は長袖。肌を焼くってのは軽度の火傷で、水分が失われるため体調を崩しやすくなり、軽視できない。女性は半袖+アームカバーって手もあるかも。
 肩に縫い目がなくバックパックを背負っても肩への食い込みが少ないラグラン袖のが良いかも知れない。

 個人的にはラグラン袖かどうかはあまり影響ないと思う。必須ではないし、そのためだけにわざわざ買い直すような話ではない。
 一番良いのは、アウトレットコーナーのあるモンベルショップに行って値札に「WIC.」って書いてあるTシャツの中から気に入るデザインのを買ってくること。2000円/枚程度で済む。2泊3日程度までなら交換する必要はないが、着た切り1枚予備1枚の2枚は必要だ。

 よく言われることだが、ヒートテックのような吸湿発熱繊維は登山用には向かない。水が蒸発する時に熱を奪って行くのの逆で、水蒸気が水になる時には発熱する、てぇのが原理。ということは行動中は水蒸気として出た汗が水に戻って暑くなる上に汗だく、休憩に入った頃にはびしょ濡れで冷える。あるべき方向と逆になってしまう。

・ミドルレイヤー/行動着

 要はシャツ。Tシャツだけでは寒い時に着るのだから長袖。

 予算が厳しいなら、最初からわざわざ買わなくても良いとは思う。寒い時にしか着ないので汗だくになる可能性は低く、そこまで速乾性だの防臭性だのうるさくしなくても良いと思うのだ。

 買うならベースレイヤーと同じく速乾性素材もしくは羊毛から選ぶ。靴下程臭くならないと思うし、夏山前提なので湿っぽい森の中でも着て歩くことを考えると羊毛より速乾性素材かな。個人的によく使うのは長袖Tシャツ。


 夏山の行動中には標高が高くて風が出てもこの程度がちょうど良いと思う。もちろん体感温度に個人差がある点には要注意ではある。

 寒がりな人ならもう少し厚いのを考える。本来なら温度調整を迅速にするためにはフルジップが良いということになるのだが、、、そういうモデルはあまりに味気がなくなるので、お勧めはこの辺り。

シングルポケット。左は男性用、右は女性用。


 ダブルポケット。左は男性用、右は女性用。

 夏山のみを考えるならウールまでは必要ないと思う。持つならほとんど次のミドルレイヤー/保温着に近い位置付けになる。

・ミドルレイヤー/保温着

 登山は運動量が大きいので行動中はほぼ不要。ただし気温は低いので、休憩などで停止すると急激に冷える。風が出れば尚更だ。3000m級の山の上で朝方となれば普段平地に住んでいる人間には信じがたい寒さ、まぁ平地の真冬並みと考えれば良い。ご来光待ちは時間も長い。
 厚みが色々あるが、迷ったら厚めをお勧めしておく。暑ければファスナーを開いたり脱いでしまえば良いのだが、寒いと本当困る。テーマからは外れるがホッカイロは有益、山上で一泊するなら無論だが、そうでなくても遭難時に朝まで持ちこたえるために。
 帽子付きのパーカーもあるが、これは一番外側に着るブツだけにしておかないと帽子部分がダブって背中でゴロゴロする。登山の場合一番外側はレインウェアで、これは帽子部分があるので、それ以外のブツは帽子なしが原則となる。前述の通りハーフジップのプルオーバーとかハイネックセーターとかは温度調整の観点よりお勧めしない。というわけで帽子部分がないフルジップのジャケットをお勧め

 だいたい出発時には寒いので着込んで出発しすぐ汗だくになって着替え、休憩時には暑いのでそのままいて寒くなり始めてから慌てて着込んでしばらく震える、等というパターンに陥りやすいが「暑くなる前に脱ぎ、寒くなる前に着る」が鉄則。すなわち出発時は寒くても薄着、休憩に入ったら暑くても羽織る。「保温」であって「発熱」ではないので、身体が冷えてからでは効果は薄い。

 大きく分けてフリースかダウン。

 フリースは薄い割に暖かい。湿っても保温性能があまり落ちないのでダウンとどちらかならこっちがお勧め。夏山ではシャミースかクリマプラス100ということになり、上述「迷ったら厚め」からクリマプラス100ジャケットを挙げた。
 高価なりに工夫はあるので、登山道具の専門店で買う利点が全くわけでもない。例えばクリマプラス100ジャケットは袖口に穴が開いていて親指を通すことにより手の甲を保温し袖がずり上がりにくくなるという機能が嬉しい。これはなぜか他の近似モデル、例えばシャミースインナージャケット、シャミースジャケット、クリマプラス100アウタージャケット等には採用されていない。


 絶対に持っているはずのレインウェアを着れば防風性を付加できるので、水蒸気発散の意味からもライニングのついたモデルは選択しない。

 ダウンは小さくなるのと軽いのが利点。湿ると保温性能が落ちるのが欠点。軽量モデルを潰して防水し最後の砦みたくバックパックのどこぞ隙間に持っておくのが良いかも。

 上に挙げたのは800フィルパワーのダウンを使ったU.L.ダウンジャケット。フィルパワーってのはダウンを潰して離した時にどれだけの体積に戻るかを示す数値で数字が大きい程高品質であり小型軽量になるが、800で充分。これを超えるような高いフィルパワーのブツは高価なばかりであまり意味がないと思う。

 ダウンみたく嵩で保温する、合成繊維のブツもある。これはダウン程小型軽量でないがダウン程湿った時の保温性低下が著しくない、というわけでダウンとフリースの中間的存在と言えるか。モンベルではサーマラップジャケット。

 左は男性用、右は女性用。

・ズボン

 速乾性素材でできていて、伸縮性のあるものをお勧めする。

 人間下半身は上半身程には寒さを感じないと言われているので、迷ったら薄め。街中で真冬に普通の厚さのズボンで歩いているということは、万が一夏用の薄っぺらいズボンで寒かった時でも上からレインウェアを着込めばどうにかなるハズ、それより昼間歩行時の暑さに対応する方が得策。
 伸縮性は、必要性がよく分からなければ一度試着をお勧めする。登山は何時間も脚を挙げ下げするので、そこで伸縮して突っ張らなければ労力が断然小さくなるのだ。まして汗や雨で湿ればさらに差は大きくなる。立体裁断等で対策しているモデルもあるが、個人的には伸縮の代わりにはならない、すなわち伸縮性必須と考える。

 安価で伸縮性があり薄手のズボンということでストレッチO.D.パンツにリンクを貼ったけど、長さを合わせ、それでも合わなければ裾上げせねばならんので、体験を兼ねてお店へ行った方が良いかもなぁ。

 ところで最近女性でスカートやキュロットで登る人が多いらしいが、急な斜面だと下から見えてしまうぞ。ずっと気にしながら歩くなんて面倒だし、脚の保護の観点からも最初は長ズボンをお勧めする。

・帽子

 目的は頭の保護と保温。個人的に気に入って使っているのはモンベルのREV.バードビルキャップ。

 サイズ調整はゴム紐を引っ張るだけで簡単。ツバは風に負けて曲がるので帽子が飛ばされる危険が少ない。使わない時には丸めてポケットに突っ込める。風がなくなったり、ポケットから出して被ると、ちゃんとツバがあるべき位置に戻る。

・手袋

 目的は手の保護と保温。
 夏山ならホームセンターで一束いくらの綿の軍手で良いんじゃないかな。例えばこんな感じ↓

 行動食を食べるなど行動中にも外さねばならん場面が多く、防水する意味もあまりない。岩を握って攀じ登ったりしてどうせ早く傷むので、高価な手袋なぞもったいないだけである。というわけで「手は濡れるもんだ」で済ませて来た。ただ△11は介護職時代によく「手が温い」と言われたので、熱の発散が多く手が冷えない質だと思う。手が冷える人は別に考える必要があるかも知れない。

・靴下

 ここでも速乾性の合成繊維か、羊毛を選択することになる。個人的には臭くなりにくい羊毛をお勧め。合成繊維は防臭加工したと言ってもやっぱり臭くなる。△11の足が特別臭いだけ(^_^;?
 でも羊毛なら1日歩いた後、女性の前で靴脱ぐのも平気。

 登山の場合靴下は緩衝材でもあってかなり分厚いものを選択する。モンベルで言うと「トレッキング」。登山靴を買う場合に靴下も一緒に買うか、手持ちの靴下を持参すべきである。靴を選ぶ時と違う靴下を履いて歩くなら靴のサイズを合わせた意味がない、、、とまでは言えないが、減ってしまう。店で靴下を借りて合わせた場合は、どういう厚みの靴下を借りて合わせたのか確認しておくこと。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版

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