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2016年6月 9日 (木)

登山におけるマット、2016年06月版

 寝袋は誰にでも必要性が自明と思うが、これは少し説明が必要かも知れない。

 寝袋は、中綿によって身体の周囲に動かない空気の層を作って保温する。中綿は羽毛=ダウンや合成繊維であり、どちらも体重が掛かれば潰れる。寝袋の下側に入っている中綿は非常に効果が薄いのである。具体的にはマットなしでどれだけ良い寝袋を使っても「地面からじんじん冷えてきて眠れない」「地面の凸凹が感じられて痛い」ということになってしまうわけである。
 そこで、下にマットを入れる。ゆえにマットは体重を乗せても大きく潰れず、保温性を保つとともに地面の凸凹の影響を減らさなければならない。つまり寝袋は掛け布団、マットが敷布団の役割を果たすわけである。地味な存在だが、ちゃんと寝袋に見あうレベルの製品を買わねばならない。

 断熱性の指標にはR値があるが全メーカーが採用しているわけではない。またこの手の数値で難しいのは「個人差があります」ってぇ話があるからだが、一つの目安として「一般的な冬山でR=5程度」と聞いたことがある。夏山を前提にするならあまり気にする必要はない、、、というより必要以上にR値の高いマットを使うと暑いかも。

 長さは重要な論点だ。例えば身長160cmだったとして初心者は当然160cm以上を選びたくなると思うが、実際にはウェストバックやスタッフバッグに衣類等を詰めて枕にするので130cm程度で全身をカバーする。バックパックには背面パッドが入っているから、空にして足を入れて寝るならマット自体は90cmでも可。もちろん長い方が快適だ、というのは就寝時身体の下をカバーするのはもちろんだが、撤収までの間テント内で快適に座ったり膝を突ける面積が増えるのだ、、、が体積や重量は増える。一応以下リンクは90〜130cmを挙げる。
 幅は長さ程問題にはされない。だいたい50〜60cm級が多い。マットに限らず山道具に限らずお道具は何でも実際の使用前に確認が必要だが、60cm級の場合は特に使用時に問題がないか確認した方がいいだろう。 例えば幅100cmのテントに二人が分厚い63cm幅のマットを持ち込んだら支障があるかも知れない。
 厚さ。整備されたテント指定地では平らに整地されており、またテント破損を防ぐために小石も拾ってから設営するから、2cm程度のマットで充分だと思う。もちろん厚い方が寝心地はマシになるが、限度があるし、犠牲もある。

 この記事ではメーカー別ではなく種類別に説明する。面倒な話だが種類の名称は△11独自のもので、他の人は違う名称で呼んでいるかも知れない。

 まずは発泡スチロール型またはクローズドセル型。マットの素材自体が空気を含んだ保温材であるタイプ。利点は安価であること、もし火を近づけたなどで穴が空いた場合にも性能が極端に下がらないなど信頼性が高いこと、短時間で楽に設営撤収できること、長過ぎたら切断できること、凹みが多数ありもし水をこぼした際に被害が限定されること。欠点は畳んでもあまり小さくはならないこと、あまり厚くできず寝心地には限界があること、畳んだ状態での寸法が大きいこと。あと、起きた時に顔に不気味な文様が刻まれていることがある\(^_^;0101
 パタパタ型とクルクル型があり、個人的なお勧めは発泡スチロール型の中でも設営撤収が速いパタパタ型。パタパタ拡げればすぐ使え、パタパタ畳めば撤収できる。

 サーマレストのZライトソル。パタパタ型の代表的存在。R値2.6。厚さ2cm。S=スモールで51×130cm290g、R=レギュラーで51×183cm410g。

 △11自身旧型のZレストを使って満足している。

 モンベルのフォームパッドはクルクル旧型からパタパタ新型に切り替わったが2016年06月現在クルクル旧型もモンベルのアウトレットで購入できる。
 パタパタ新型は厚さ1.6cm。フォームパッド90が51×91cm177g、フォームパッド120が51×121cm237g、フォームパッド150が51×151cm297g、フォームパッド180が51×181cm357g。まだAmazonには150と180しか出てないようだ。リンクは150を挙げる。

 薄いな、とは思うがさすがに安価ではある。

 クルクル型、パタパタ型より安価な傾向にある。日本山岳界で伝統的に使われてきた銀マットも、この一種である。が、巻いてあるので伸ばした時に巻きグセが残ること、巻くために薄い製品が多く寝心地が硬いことから、個人的には好きではない。ちなみに伝統的な銀マットは厚さ1cm程度しかなく、さすがに硬くて寝苦しい。

 代表的存在はサーマレストのリッジレスト。従来からあるR値2.6のクラシックと、銀色で保温性を上げR値2.8のソーライトがある。どちらも厚さ1.5cm。S=スモールが51×122cm260g、R=レギュラーが51×183cm400g、L=ラージが63×196cm540g。

 夏山にはクラシックで充分だ。

 一応マットには風船型もある。バルブを開いて空気を吹き込みバルブを閉めるタイプだ。厚みがあって快適性が高く、小型に畳め軽量なので一見良さそうに見えるが、空気が薄い場所で疲れた身体で大量の息を吹き込むのは辛い穴が開くと機能を完全に失うのも大きな欠点だ。また単純な旧来の風船型マットは中で空気が循環するので保温性が低い。オートキャンプなら自動車の電源でポンプで空気を入れれば良いので快適性を優先できるのだろうが、登山で使うものではなかった。
 ただ最近は小型ポンプを設定したり、手押しや足押しの簡易ポンプを付属したりで安楽に大量の空気を入れられるようにした製品があったり、ダウン=羽毛や熱反射板等で高い保温性を実現した冬山用の製品が出る等多様化している。
 夏山に行く初心者がもし検討するとしたら「予算は気にしないから快適に」という考え方で、ポンプが付属し、ぶ厚いが保温性は高くない製品だろう。
 例えばサーマレストのEVOライト。厚さ5cmで原則R値2.1。S=スモールが51×119cm330g。WR=女性用レギュラーのみ通常より保温性が高いR値3.9で通常のM=ミディアムと同じ51×168cmで、340g。R=レギュラーが51×183cm480g。L=ラージが63×196cm650g。AmazonにはS、 R、Lが出ている。
 もう一つはネオエアーXライト。厚さ6.3cmで原則R値3.2。S=スモールが51×119cm230g。WR=女性用レギュラーのみ通常より保温性が高いR値3.9で通常のM=ミディアムと同じ51×168cmで、340g。R=レギュラーが51×183cm350g。L=ラージが63×196cm460g。AmazonにはS、WR,Rが出ている。
 ただこういう新しい考え方に基づく改良風船型も、穴が開くと機能を失うのは同じだし、「電動ポンプの電池がなくなったら」「もちろん口で息を吹き込むよりは楽になっているだろうが、しかし手動ポンプで本当に面倒を感じない程度には安楽に空気を入れられるようになっているだろうか」「ポンプが故障した際にどうするか、マットなしで寝られるか」「2cmのマットに文句を感じるような贅沢人が、何か問題があった時に対応できるか」等考え始めると意外に色々面倒、「面倒なしで快適さが手に入る」と考えている人に勧めるのは怖いので、詳細の説明はしない。

 最後はスポンジ型またはインフレータブル型。風船型の中にスポンジが入っていて、バルブを開くと潰されていたスポンジの復元力でかなり空気が入り、自分で吹き込むのは最後の硬さ調整だけである、、、という建前だが、実際にはかなり息を吹き込む覚悟をしておいた方がいいと思う。スポンジで空気が動かないので一般にその厚さに従って保温性が高くなる上に畳んだ状態では非常に小型になるなど発泡スチロール型と風船型のイイトコ取りであるが、それだけに非常に高価だ。もし穴が開けば体重を支えるのはスポンジだけになり性能低下は避けられないので、信頼性が高いブランドを選んだ方がいいと思う。修理パッチを持ち歩けば応急修理はできるが、穴がその場で見つかる保証はない。また空気を入れたり抜いたりする必要があるので設営と撤収に時間と手間がかかる。

 スポンジ型の元祖はサーマレスト。プロライトが厚さ2cmで原則R値2.4。XS=エクストラスモールが51×91cm245g。S=スモールが51×119cm335g。WR=女性用レギュラーのみ通常より保温性が高いR値3.0で通常のM=ミディアムと同じ51×168cmで、480g。R=レギュラーが51×183cm480g。L=ラージが63×196cm630g。リンクはXSとS。


 サーマレストのプロライトプラスが厚さ3.8cmで原則R値3.4。S=スモールが51×119cm400g。WR=女性用レギュラーのみ通常より保温性が高いR値4.2で通常のM=ミディアムと同じ51×168cmで、570g。R=レギュラーが51×183cm570g。L=ラージが63×196cm770g。リンクはS。

 プロライトプラスのWR=女性用レギュラーを使っている。表面の模様も女性っぽい感じだけど気にしない(^_^;

 モンベルはU.L.コンフォートシステムパッドが登山用で、厚さ2.5cm。U.L.コンフォートシステムパッド90が50×90cmで315g。U.L.コンフォートシステムパッド120が50×120cmで415g。U.L.コンフォートシステムパッド150が50×150cmで520g。U.L.コンフォートシステムパッド180が50×180cmで630g。オプションとしてはU.L.コンフォートシステムパッド30が50×30cmで100g、他の長さの製品と共通の厚さ2.5cmスポンジ型。エクステンションパッド30が50×30cmで70g、空気注入でなく厚さ1cmで座布団状。U.L.コンフォートシステムピロー=枕が45×25cmで70g、スポンジが入ってない風船型。Amazonに出ているのは120、150、180、ピロー。リンクは120とピロー。

 トグルで継ぎ足しができるので、「120を買ったけど少し短か過ぎたから150にしとけば良かった!」となった時にも30を買い足せば僅かな費用増と重量増で済む。最初から120では短か過ぎるのを承知の上で120と30を買って「通常の夜は150として、昼は30を座布団としても使い、軽量を優先する時は短いの承知で120だけで使う」手もあり、その場合足は空にしたバックパックに載せる。継ぎ足す30は座布団としても使うならU.L.コンフォートシステムパッド30よりエクステンションパッド30の方が良いかも知れない。U.L.コンフォートシステムピローは「寝ている間に枕がどこか行ってしまう」ということがなく有用だ。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版

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