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2016年7月 8日 (金)

登山における給水、2016年07月版

 時間が経過したので登山における給水、2014年10月版を改訂する。

 スポーツ全般において給水は重要だ。昔は「飲んだらバテる」等と言われていたが、今は「喉が渇く前に飲め」である。実際水を切らして歩くとバテるし、バテた状態で歩くととてもキツいし、頑張った割に成果が出ない。がぶ飲みすると吸収が間に合わずトイレが多くなることもあり、こまめに少しずつ飲んだ方が安全かつ楽だ。水は体内の化学反応の触媒なので、冬に冷える対策にもなる。「5分おきに口を湿らせる程度」などとも言われるが、そこまで厳密にやらなくても良いとは思う。余談だが、行動食も同じ考え方である。

 持つ量は「5cc×体重(kg)×時間(h)」とも言われるが、実際には気温や湿度、登高のペースによっても全然違うので、目安でしかない。地図を見て行程の途中に水場があって事前のインターネット検索で最近その場所を通った人が水が出ていた旨言及していたとか、小屋泊まりで貰えることが分かっているなら、補給を前提にして持ち込む量を減らすこともある。もちろん迷ったら多めに持つが、あまりに慎重になり莫大な水を持つと重くて歩くペースが遅くなり危険を招く場合もあるので、どうにかなる場所で自分なりの給水量を知っておくこと。

 お茶やジュースを持ち込む人もいるようだが腐敗やカビなどの原因になるし、炊事に使うなど融通も考えればただの水にしておくのが無難だ。少なくとも一部はただの水にしておくべし。

 「水を入れやすい」「洗浄しやすい」必要がある。具体的には広口で、奥まで手が入るのが良い。

 色が選択できる場合は青系をお勧め、理由は燃料ボトルは赤、飲料ボトルは青で!

・ペットボトル

 何か飲んだ後の空ボトルを洗ってラベル剥がして取っておいて、水を詰めて持つ。予算を掛けられないうちはこれで結構。
 欠点としては、キャップを取り落とすことがある。登山の場合、落としたキャップが断崖絶壁の下へ転がり落ちて行ったり、大きな岩の隙間に転がり込んだりする可能性も高いわけで、拾えるとは限らない。取り落とさないように気をつけること、万が一取り落としてもどうにかなる状況にしておくことは必要だ。すなわち、例えばキャップの予備を持つ。さらに全滅のリスクを減らすため2リットルを1本持つよりは1リットルを2本持つ方が良い、その方が梱包に融通も利く。
 1本は0.5リットルとか小容量にしておいた方が良い。例えばザックの横に差しておけば歩きながらこまめに飲める。休憩時間に大きいボトルから補充するのだが、ここでもう一つの欠点が問題になる。口が小さいので細心の注意を以てするか、漏斗を携行する必要があるのだ。
 大きい方のボトルは四角いの方が梱包上で有利だと思う。
 これは使い捨てに近いだろうから、洗浄に関してあまり厳しく考えていない。

・登山用ボトル

 登山用として売っているボトルは、キャップを取り落とさないようにキャップが本体と繋がっている。またパッキンなしで密閉を実現している製品は手が奥まで入るほどではないものの洗浄が楽で確実だ。キャップはナルゲンの広口ボトルが事実上統一規格になっており、アクセサリーが共通に使える。
 ただ積極的にこのシステムを推奨するか、と言われると、高価な割にメリットが少ないと思う。丸型なので梱包効率も良くない

 有名で信頼されているのはナルゲン。容量は各種あるが持つとしたら0.5リットル×1、1リットル×2という感じか。左が0.5リットル、右が1リットル。

 もし使うなら口を小さくして飲みやすくする下のブツ併用をお勧め。装着するのは直接口をつけるボトルだけで充分だろう。ナルゲン0.5リットルにも使えたと思うが未確認。

 モンベル製は少し安価、全モデルキャップ等が事実上ナルゲン互換品で流用できるが、保証されたものでもない。0.5リットル、0.75リットル、1リットル。△11は実際に上記のヒューマンギアを0.75リットルに使っている。

 後述するエディボトルやハイドレーションと違って細い管がないので、洗浄が簡単かつ確実であり、それなりの必然性がある。

 キャメルバッグのエディボトルは飲み口を起こすだけで飲めるし倒すだけでロックできるので手早く飲める。補充時以外キャップを外さないのでキャップを取り落とす可能性も低く、また顔を上げる必要がないので飲みやすい。口が大きいので補充も楽で確実だ。0.6リットルをリンクで挙げる。


 バックパックの中の大容量ボトルはペットボトルで、手元の小容量ボトルはキャメルバッグのエディボトル、というのも一つの妥協点として良いかも。

・折畳式ボトル

 通常のボトルとハイドレーションの中間的存在。口は通常のナルゲン広口規格、本体はソフトな袋。リンクは1.5リットル、3リットル。

 100円ショップなどでも類似品は入手でき、便利に使っている人を見たこともあるが、信頼性は疑問。破れても困らないような状況である旨確認しながら使う必要があるだろう、

・ハイドレーションシステム

 バックパックの中にソフトな袋を背負い、そこから手元までチューブを伸ばして吸えるようにしたシステムだ。いつでも必要なだけ楽に給水可能で、高価掃除が面倒残量が見えないのを除けばこれが理想的。宿泊場所で炊事に水を使う場合等バックパックにセットしてあるハイドレーションシステムから水を出すのは面倒であるし、「吸っても水が出なくなり気がついたら飲み尽くしていた」なんてのも困るので、これ1本で行くのは無理がある。予備の水をペットボトル等で持たねばならない。
 最近は袋を入れる場所が設置してあったり、チューブを通す穴があったり、チェストハーネスにバイトバルブを掛けておくフックを装備したりと、ハイドレーションシステムに対応したバックパックも増えて来た。ただ実際には対応してないバックパックでも、ハイドレーションシステム本体をバックパックの一番上に置けば使える。

 万が一破れた時に困るので実績があるメーカー製であること、本体に手を突っ込んで洗えること、チューブを本体から簡単に外して洗えること、給水時に片手だけで口を開いた本体を持ったまま蛇口を捻れること、丈夫で匂いがつきにくい素材で作られていることから、キャメルバックのアンチドートリザーバーを勧める。ポリウレタン製で素材の性質上経年劣化が気になるが、実際には以前に購入したプラティパス製より長持ちしている。もちろん以前のプラティパスがハイドレーションシステムの初期製品だったハンディはあろうが。
 1.5リットル、2リットル、3リットルがある。大は小を兼ねるので1.5リットルよりは2リットルだが、リスク分散の観点からペットボトル1リットルで別に持つのでさすがに3リットルは不要だろう。というわけでお勧めは2リットル。

 飲み口にはロックが付いている。

 △11が使っているのはキャメルバックのストアウェイで、アンチドートリザーバーの上位機種。本体もチューブも保温材で包まれており、冬山で凍結しにくく、冷たい飲み物がヌルくならない。下界で冷凍する場合、保温材で結露が少なく他の荷物を濡らす可能性が少ない。保温材は一部オプションでも販売されているが、アンチドートリザーバーとストアウェイの差額と比較すると非常に高価につくので、こっちにしておいた方が後悔はないかも知れない。保温材は外せるので登山時に重くなるわけでもない。飲み口はロックがない代わりにカバーがついている。

 「冬山なんか行かないし、常温の水で結構だ」という人も、バイトバルブに関して「飲み口が剥き出しなのは嫌なのでこれが良い」という人も多い。バイトバルブカバーとしてオプションでも売っているが交換は面倒だ。

 キャメルバックにはアンチドートライトリザーバー2.5リットルというモデルもあり、2リットルのアンチドートリザーバーより安価で、メーカーウェブサイトでは「初めてリザーバーを使う方におすすめの入門モデル。シンプルでコストパフォーマンスに優れています」と紹介されているが、絶対に勧めない。クイックリンクを装備しておらず、すなわち洗うためのチューブの脱着が面倒なのである。ただでさえチューブの掃除は面倒なのに、洗いやすくなってないと困る。バックパックにチューブを残してハイドレーションシステム本体だけを持って給水に行くこともできず、この点でも面倒だ。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版

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