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2016年7月 5日 (火)

登山における非常用品セット、2016年07月版

 これは結構深いテーマだ。
 無責任に書くなら簡単で、どこぞから内容を拾って書き写せば済むかも知れない。しかし、世にある非常用品セットを見ていても、真面目に組まれているとは思えないものも多い。そして、もちろん「最後は自己責任で」ということになるとしても、やはり人の生命に関わること、自分で納得できない記事は書きたくない。というわけで他の記事と比較してかなり遅くなった。
 もちろん「軽量に抑えなければならない」という制約もある。固定観念を排除して手持ち資材を見て兼用できるものは兼用する。バックパックに入れて何時間も歩くのが前提なのだ。
 もう一つ困難な理由は、これ使う人によって全然有効性が変わって来るノウハウの塊で、「人の組んだ非常用品セットが参考になるのか?」という疑問がある。原始に近いので、使う人の能力が問われるんだな。使える人にとっては非常に有益なものも使えない人にとってはただのお荷物で、「使えるように努力する」or「入れない」という択一を迫られることになる。
 逆に言うと「誠実に努力するとしても、最後は無責任に書くしかない」ということでもある。だって買った人が使い方も知らず「お守り」として書いてあるそのまま持って行って道に迷って行き着いたどこぞの深い森の奥で「使えね〜ぞぉ!」なんて喚くのまで責任取れっこないでしょ。
 まぁ緊急用品に限らず山道具の「お勧め」なんてそんなものだし、最終的には道具の「お勧め」なんて本来は全てそんなものなのではあるが。

・ファーストエイドの入れ物。

 有名ブランドの空ケースを買って一から全部検討するより、自分で足し引きするベースとして既存のセットを買ってしまうのが安く上がるかも知れない。

 色々入って1000円だから安いね。どれでも良いから何か選んで、以下そのベースキットに入ってなくて必要なものを買い足し、登山で使えないものを抜いていくことになる。
 色は赤色をお勧め。

・サバイバルシート。

 個人的には、過信しないのが重要だと思う。シート自体の遮熱と、寝袋としての保温性は別のものだからだ。シートの遮熱がいくら高かろうが体に密着できず隙間風が入るので、言うほど暖かくはない。「小型軽量の割に有効だ」という程度のことで、使う羽目に陥った時には保温着をあるだけ着込むのは当然だ。
 場合によってはグラウンドシートやタープにするとか、ツェルトに入らなかった荷物を濡らさないために巻くとか、いろいろ使い方は広がるものなので、ネットで情報収集しておいて欲しい。

 時々値段は変更になるみたいだけど、、、5枚セットで212円、送料無料ってホントかよ(^_^;

 袋になっている製品もあって、保温性は高くなると思うけど、高価。

・インシュレーションジャケット。

 △11の考え方としては保温着の主力はフリースであるが、それでも保温性が足りない場合に防水の緊急用品セットからインシュレーション(ふわふわで身体の周囲の空気を固定し保温する)の服を引っ張り出して足す、という位置付け。
 インシュレーションにはダウンと合成繊維がある。傾向としてはダウンが小型軽量、合成繊維は気軽に扱える。ダウンは洗濯とか、羽根抜けとか、濡らすと大幅に保温性が下がるとか、いろいろ気を使う場面が多いんである。
 お勧めはファイントラックのポリゴン2ULジャケット。

 これはダウンと合成繊維のイイトコ取りのインシュレーションで、合成繊維で気軽に扱えるのに、ダウンと同等の小型軽量を併せ持つ。欠点は高価。「ユニクロのダウンジャケットじゃダメなの?」って少し大きく重くなるのと、ダウンだから濡らしてしまえば保温性はないものと思わねばならん、っていうだけで、特に問題ないよ。

・着替え1セット。

 ここでとにかく夜をやり過ごす、となった時に服が濡れていると非常に冷え込む。ツェルトをちゃんと張って「もうこれ以上濡れることはない」となったらちゃんと乾いた服に着替えると全然違って来る。
 「出したらこっちも濡れていた」では話にならない。完全防水しておく。絶対にもう身体を濡らさないという確信ができるまで開封しない。

 下山後の着替えセットを兼ねる。
 登山ってのは着た切り雀で汗だくの生活を数日続けたりするわけである。特に公共交通機関に乗る場合には匂いで周囲に迷惑をかけていないか心配になる。
 例えば登山基地に下山後、近くの温泉に寄った後でこのセットを着るとさっぱり気持ち良く帰宅できる。

・魔法瓶/懐炉

 フリースを常用しインシュレーションも非常用品に入っていれば寒さに関してはバッチリか、というと、ドジを踏んで身体を冷やした場合、保温しても体温はすぐには戻らずしばらくガタガタ震えることになる。こういう場合一番即効性があるのは温かい飲み物を飲む=内側に熱を入れること、次が懐炉=外から熱を与えること。

 テントのポケットには使い捨て懐炉がいくつか入れてある。以前はそれ以外の懐炉も使い捨てだったのだが、ゴミの問題、発熱量の問題から△11はハクキンカイロミニを買った。

・細引き

 細いロープね。ツェルトに装着してあるので、緊急用品ではあるが緊急用品セットには入っていない。
 アライテントのツェルト張綱セットは4m×2本、自在×4、50g。ファイントラックのツェルトガイラインセットはφ2mm×5m×2本、蓄光自在×4、40g。スノーピークはφ4mm×10m、1本。

 好日山荘みたいな専門店へ行くといろいろな色や柄の長巻があって切り売りして貰えるので、個人的には5mを色違いで2本買い、前後の色分けで設営する時に出入り口がどっちなのかすぐ分かるようにしてある。可能なら細引き自体も、それが不可能なら自在だけでも蓄光タイプにしておくと、間抜けな隣人の足が引っ掛かる可能性を減らせる。

・テーピングテープ

 本来の用途のほかに、例えば靴、バックパック、テント、マット等が破れた時の応急処置に使う。長巻のまま持っていくと場所を取るので、個人的には一部をトレッキングポールに巻き直してある。

・常備薬

 乗り物酔い止めとか、下痢止めとか、痛み止めとか、自分の傾向を知った上で対策品は人によって違うだろう。ただ症状を止める薬で症状が消えても、根本の改善になっていない場合もあるので、そこは要注意。そのまま持っていくと嵩張るので小分け容器に移して持つ。登山用品で買うと高価になるので、化粧品用がお勧め。

 どれでも良いけど、こんなんどう?
 すぐに欲しいなら無印良品でも同類を売っている。

・エマージェンシーファイアースターター

 マグネシウム合金とステンレスをこすることで点火する「火打石」。濡らしても拭けば使える。何でも良い、と言いたいところだが、「点火が非常に困難だ」とか、「棒がすっぽ抜けて行方不明になった」とかいう話を聞く製品もある。

 お勧めはライトマイファイアーのファイアースチールスカウト。

 買うのであれば、火器関連のものなので、赤色をお勧めする。理由は燃料ボトルは赤、飲料ボトルは青で!まで。登山における点火装置、2014年05月版を書いた時に存在した橙色はなくなってしまったようだ。
 現行の2.0はステンレス棒の付いている黒ハンドルがホイッスルになっている。

・ホイッスル。

 遭難して助けを呼ぶのに声は思ったより届かず、またエネルギーを消耗する。そこで使えば気がついて貰える可能性を高くでき、省力化を図れる。

 △11のシステムでは、エマージェンシーファイアースターターのファイアースチールスカウト2.0がその機能を持っており、わざわざ別に持つわけではない。

・ポケットナイフ

 以前と比較して随分「持て」という空気は薄くなったが、やはり持った方が良い。一番緊急なのはテント火災の際切り裂いて脱出する、という場合である。
 普段は、フリーズドライやレトルトの開封がうまく行かなかった時に使う。箸を忘れた場合には木の枝を拾って来て削って作る機会があるかも知れない。また珍しくはなったものの缶詰で缶切りが必要なタイプだとか、開封に失敗してタブが取れちゃってどうにかしたい、等という可能性も皆無とは言えない。

 定番ではあるがヴィクトリノックスは安心感があり、安価だ。一番小さいクラシックで充分。

 周囲に威圧感を与えにくい。結構紛失するので、多数の中古セットをやっほ〜で落札しておいてそこから使えば長期的に費用を圧縮できるかも。
 物欲にまみれている人は「最上位機種のスイスチャンプが欲しい」とか言い出すが、どうせ道具を全部覚えられるわけでなく、ハンドルが分厚くなって使いにくいだけだ。
 これも、非常用品ではあっても非常用品セットには入れない。ヘッドライトと同じくすぐに出せる場所で。そのためにも小さい軽量なクラシックなのである。

・予備の靴紐

 前は持っていたけど、今は持たない。出発前のチェックで問題がなければ1週間歩いたくらいで問題が出てくるとは思えないし、反対側の靴紐と同じ長さに切った細引きで下界に降りるまで歩くくらいはどうにかなるからだ。

・非常食

 登山における食事、2014年10月版まで。

・非常用水

 特に残量が見えないハイドレーションシステムを使用する場合には重要だ。登山における給水、2016年07月版まで。

・ラジオ

 登山における携帯ラジオ、2016年06月版まで。

・その他小物

 アクセサリーカラビナは登山用品屋さんで買うと250円/個とかだが、100円ショップのセリアに行けば108円/4個で買える。約1/10ですな。
 便利だけど、荷物の外側にいろいろぶら下げると不安定になったりどこぞに引っかかったりして場合によっては危険なので乱用しないように。

 ツェルト設営に必要な、ロープの長さを調節する自在やペグは必要な分をツェルトに装着して持ち歩くが、+αの予備をいくつか緊急用品セットに入れてある。

 自在を買う時には、使用する細引きの太さに対応するか確認を。ペグはある程度軽量なのを選ぶが、消耗品なので高価で超軽量なのは不要。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版

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