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2016年8月 1日 (月)

登山におけるトレッキングポール、2016年08月版

 最近は山の中で会う人会う人皆持っている。しかし一昔前まで誰も使っていなかったわけであり、最初から揃えなくても問題ないものだ。ただ逆に言うと一昔前まで誰も使っていなかったものがこれだけ普及しただけの理由もある。

 少し大きな下り段差がある場合、ポールがなければ座り込むか後ろ向きになって降りなければならず時間と労力がかかるが、先にポールを下段に刺せれば手に体重をかけて足を降ろせる。
 緩やかに下っている道を歩く場合、ポールがなければ加速して危ないので脚の力を使ってブレーキを掛け続けてゆっくり行かねばならないが、ポールがあればそのブレーキ力を当てにして脚のブレーキ力を温存しながらある程度速いペースを保って迅速に行ける。

 長さは「上腕を真下、肘を90度、前腕を水平にしてグリップを持ち、ちょうど先端が地面につく長さを基本の長さにし、下りに差し掛かったらその傾斜に従い5cmとか10cmとか少し伸ばす。「登りは少し短めに」という意見が多いが、個人的には登りで「身体を押し上げる」「バランスを取る」くらいにしか使わないので、突くのは真横あたりになり、平面と同じ長さで良いと思う。

 選ぶ際に重視せねばならない観点はいくつもある。

・安全性

 一番重要だ。険しい山道で「おっとっと」となって支えようとポールに体重をかけたら折れたor短縮したでは危なくってしょうがない。トップメーカーでなくても良いが、自分が信頼できる程度のメーカーにはしておきたい。「安物だったから折れるかも」という気持ちが自分の中に欠片でもあるなら、持たない方がマシである。

 登山業界では「カーボン樹脂製はアルミニウム合金製との比較で軽量だが折れやすい傾向がある」とされているが、これは嘘だと思う。原料となるカーボンシートには繊維方向があって、互い違いに重ねて接着すべき、ってのが常識なのだが、そこで間違えて繊維方向が同じ向きにシートを重ねると強度が出ないのだ。すなわち「カーボン製でアルミニウム合金製より折れやすい」のが本当だとしたら、それはそのメーカーの単なる製造ミスである。
 自転車業界でも、自動車業界でも、航空機業界でも、スキー業界でも「カーボン樹脂製はアルミニウム合金製との比較で少し高価にはなるが軽量で強度も高い、ただし折損する際には曲折ではなく割れるように折れる」が常識だ。「強度でアルミニウム合金製に劣る」などと言及したら嗤われるのではなかろうか。
 個人的にはスキーのポールで通常の太さのアルミニウム合金製を長年使っていたが、衝突された時など毎度折れるのでバカバカしくなり、デモンストレーター用の細いカーボン製ポールを買ったらその時から全く折れなくなった。

・軽量

 ポールに極端な軽量性は必要ないが、しかし軽量性を一言でも口に出すのならポールからだ。なぜなら一日中振り子運動を繰り返させるものであり、重量差が一番効いてくるからだ。

 カーボン樹脂製とアルミニウム合金製を比較すればカーボン樹脂製の方が軽い傾向にある。

・伸縮方法

 岩場で邪魔になる際には縮めて、場合によっては収納して行動する。岩場は続くとは限らないので、結構毎度出して伸ばしたり縮めて収納していたりすると、そのわずかな差が積み重なって伸縮の時間が問題になってくる。
 グリップ部分が長くなっていて、どこを握るかによって瞬間的に実質の長さを変更できる機種もある。

 ネジ式。時間がかかるが確実だ。

 レバー式。迅速に調整できるが、調整具合によってはレバーを締めた状態にしても体重をかけると固定されていない状況がありうる。ちゃんと「レバーを締めたら固定されている」よう調整しておく必要がある。今はダイヤルなどで調整できる機種が増えて工具を要する機種は少なくなったと思うが、工具を要する機種は避けて通り、すでに買ってしまった人は注意して工具を携行する必要がある。

 伸縮箇所が複数ある場合は、強度を少しでも保つよう太い場所から伸ばす。
 5cm伸ばすのに2箇所を2.5cmずつ伸ばさねばならないようになっているなどという機種もあるが、調整の時間や手間から言っても論外。

・形状

 これはあまり問題ない。I字型を2本、T字型を1本、のどちらか。I字型を2本が普通。T字型で対応するのは里山歩きなど軽い状況のみである。

・アンチショック機構

 バネが仕込まれていて、大きな重量が掛かった時にホンの少し縮んで手首への負担を逃す。「ピョコピョコ跳ね回って怖い」と思うほど伸縮しないので、できるだけアンチショック機構を装備する機種を選ぶ。

・個別機種紹介

 ヘリノックスLB−130SAはちょっと高価だが、伸縮機構がキモで、2段伸縮なのにレバーは1箇所だけなので迅速に伸縮できる。

 460g/2本とまぁまぁ軽量。アンチショック機構あり。グリップが長く、握る場所により瞬間的に実質短くも使える。2本の価格である。

 モンベルでオススメなのはアルパインカーボンポールアンチショック。調整範囲は105cm〜130cm。95cm〜120cmと少し短くグリップが細いアルパインカーボンポールアンチショックSもあるので、小柄な人はそちら。


 モンベルは1本から売っており、1本破損した状況等を考えると嬉しい対応である。価格も1本の価格なので要注意。伸縮ネジ式でオーソドックス。ノーマルは紺と白から選べ、402g/2本。Sは赤と白から選べ、378g/2本。

 モンベルでちょっと言及しておきたいのはU.L.フォールディングポール。120cmが青、115cmが緑、110cmが赤。

 115cmモデルで344g/2本と軽量だ。長さ調整はできないが、グリップが長く握る場所により事実上瞬間的に長さ変更できる。アンチショック機構はないが、しなるので事実上軽いアンチショック機構になっている。ただし荷物が重い時にしなりが大きくなるのはちょっと怖い感じがある。バスケットを変更できないので積雪期には対応できない

・その他

 誰もが使うようになって「登山道が穴だらけになって雨水が浸透し崩れやすくなる」「湿地帯の木道が穴だらけになって雨水が浸透し腐りやすくなる」「先ゴムが湿地帯に大量に出てくる」など自然、安全、美観など各方面で問題になり始めている。注意したい。

 出発時に先ゴムを外すのを忘れ。泥濘地を通過した後で先ゴムがないのに気がつく、というパターンが多いので、シナノのPP−20が使えるなら最初にこれに交換しておく。

 △11のヘリノックスLB−130SAには問題なく使えた。

関連記事:
登山における用具全般、2016年05月版

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