この記事は新版、登山におけるレインウェア、2016年05月版に改訂済。
改めて考えてみるとある意味不思議ではあるのだが、△11は登山用のレインウェア、というとモンベルしか考えたことがない。無論他のメーカーも出しているのだが、どうしてモンベルしか考えていないのだろうか。でもまぁ理屈屋で高級ブランド志向の△11がその結論に至っているのであるから、それなりに理由はあるのだろう。
少なくとも、日本の山で使う以上、日本メーカーの製品を選ぶしかない、とは思う。ここまで多雨の山岳は他にないと聞く。そして△11の持っているモンベル ストームクルーザー(△11のバックパック)と現行品を比較すれば随分変更点があることで分かる通り、モンベルがそういう環境の元で長年誠実に製品改良を繰り返して来たのは事実である。上下別売されるようになり、ウィンドブレーカーとしても使えるデザインになり、スナップボタン止めのフラップつきファスナーがアクアテクトジッパーになり、、、そういうわけで、誰かに聞かれても「モンベルを買え」としか言えない。ネットで見ていても「レインウェアはモンベルしかないでしょ」という雰囲気の記述は多いので、それで良いのだと思う。
モンベルのレインウェア、と言ってもいくつも種類がある。「どうやって選ぶんだ?」と思う人もいるかも知れない。カタログを見ても違いが端的に書いてない部分もある。なので、きっちりカタログを読んで、端的な日本語に翻訳してみることにした。
下記スペックは男性用から挙げたが、女性用も傾向は同じと思う。
思考の出発点は定番のストームクルーザー。ロングセラーかつベストセラーなので何も考えたくない人はこれ。防水透湿素材はゴアテックス。ナイロン部分は30デニールのバリスティック。裾を絞りたかったら両ポケットに手を突っ込んで一番奥に出ている紐の端を持って引っ張ればおっけい。フードの調整も同様引っ張るだけ。前ファスナーは邪魔するもののないアクアテクトジッパー。パンツの裾にはゴム紐が入っていて、一箇所ループに引き出せる場所があるので引っ張り出して靴に掛ければ、ずり上がり防止と裾絞りの両方が同時にできる。ジャケット¥18k、280g。パンツ¥11.8k、200g。
代表作だけあってサイズの揃え方も他のモデルより充実している。以下±の表記は対ストームクルーザー比。優越は青文字、劣後は赤文字。
もう少し安価なブツ?
ゴアテックスでなきゃ、という人ならレインダンサー。裾やフードの絞りがワンタッチでなくなったりという装備簡略化がされている。またナイロン部分がバリスティックではなく、その分を穴埋めする太さの50デニールで耐久性はストームクルーザーと同等、糸が太いので少し重くなる。ジャケット¥13.9k(¥−4.1k)、330g(+50g)。パンツ¥9.9k(¥−1.9k)、230g(+30g)。
ゴアテックスでなくても安いのを、という人はサンダーパス。防水透湿素材に自社開発のスーパーハイドロブリーズを使っている。レインダンサーでなされた装備簡略化に加え、前ファスナーがアクアテクトジッパーでなく、ベルクロテープのついたフラップがついている形式なので、開閉時くっつこうとするベルクロを剥がしながらになるのは面倒。まぁ△11の持っているスナップボタンつきフラップよりはマシだけど。ナイロンは50デニール。ジャケット¥7.8k(¥−10.2k)、354g(+74g)。パンツ¥5k(¥−6.8k)、255g(+55g)。
スーパーハイドロブリーズとゴアテックスの差について詳細にはゴアテックスと類似品の差を参照。
んで、普通の登山なら、ここまでの中から選べると思う。以下は特殊モデル。
軽量モデル?
ゴアテックスでなきゃ、という人ならトレントフライヤー。ナイロンはバリスティックで12デニール。ジャケット¥19k(¥+1k)、205g(−75g)。パンツ¥13.8k(+2k)、165g(−35g)。
ゴアテックスでなくても、という人はスーパーハイドロブリーズのバーサライト。ナイロンはバリスティックで15デニール。ジャケット¥11.8k(¥−6.2k)、168g(−112g)。パンツ¥6k(¥−5.8k)、93g(−107g)。強烈に軽いし、結構安価なので面白い選択だ。晴男晴女で「使ったことないけど持っているだけ持っていないとなぁ」とか、トレイルランで「ルールで持たなきゃイケナイ」という動機で買う人はこれだろう。
ただし、軽いレインウェアには、生地が薄いことに起因する弱点がある。
耐久性が劣るのが一つ。使用頻度の高い方すなわち雨男雨女や、△11みたくガサツで扱いが荒い人にはちょっと向かない。
もう一つは、大粒の雨に叩かれた時に「叩かれている」感があって疲れる、という。この感じが分かる方も分からない方も、そういう意見がある旨納得した上で軽量モデルは選択して欲しい。
もう一つ、これは生地の薄さと関係ない軽量化の弊害で、フードの収納がない。後ろにぶら下がっているので強風下ではバタバタする。
特別耐久性が欲しい?
ストームハンター。防水透湿素材はゴアテックス。ナイロンはぶっとい70デニール。ジャケット¥23.5k(¥+5.5k)、455g(+175g)。パンツ¥13.8k(+2k)、300g(+100g)。「登山ガイドや山岳警備隊などプロ使用にも耐える」という。これを検討する方はアルパインウェアも考慮した方が良いかも知れませんな。普通の人の登山にはオーバースペックだと思う。これもサンダーパスと同様ファスナーが防水ファスナーでないベルクロつきフラップ式。
まだモデルがある。
レイントレッカーは防水透湿素材が通気性のあるブリーズドライテック。ジャケット¥10k(¥−8k)、325g(+45g)。パンツ¥6.8k(¥−5k)、245g(+45g)。通気性があるってことは、夏山なら少し涼しいけど、冬山だと寒くなるんじゃないかな。
ハイドロブリーズレインウェアは安価だが、防水透湿素材はスーパーがつかないハイドロブリーズで、登山に使うのはちょっと性能に不安が、、、という人が多い。上下セット¥9.9k(¥−19.9k)、474g(−6g)でジャケットパンツのバラ売りなし。
上の画像を見ていても分かる通り、最廉価のハイドロブリーズレインウェアを除くモデルはパンツがジャケットと同色でなく、黒またはそれに準じる濃い色だ。これによりモロ「レインウェアです」という顔ではなくなり普通の場面でも着られるようになっているし、汚れも目立ちにくくなっている。
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